まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ガーデンハックルベリー

ガーデンハックルベリー こんな感じ
ナス科
ナス属
(※栽培種は興味がないので写真はない)

※イヌホオズキ類は現在も非常に分類が難しい仲間。

英一般名は「ガーデンハックルベリー」または「アフリカンナイトシェード」。(※ナイトシェードはイヌホオズキ類の一般名。)
国によってはツツジ科の本物と同じ「ハックルベリー」とも呼ばれているが、全く無関係な種なのでその名で呼ばないで欲しい。そもそもガーデンハックルベリーという横文字の呼び方自体もとても嫌で私としてはこういったものが広まるのは嬉しくない立場なので、いっそ「イヌホオズキ」の名を取り入れて元の産地から「ギニアイヌホオズキ」とでも呼んでくれないものか…。

日本以外の国・地域によっては各部が野菜として使用されたり、果実をジャム等にして昔から利用されている。(※ちなみに、アジアにはテリミノイヌホオズキの葉を炒め野菜として使う国すらあるし…。)
日本ではここ数年、早くから飛びつくタイプの人が種子を取り寄せて栽培してジャムにしてみたりしているようだが、 一般的なナス科同様でソラニン等毒性の成分を含むため、食用に供する際の扱いには気をつける必要がある
特に、へた(萼)や葉、茎等の実以外の部分や若い実は摂取しない方がよい。

この植物の学名と特徴

まず。
食品安全委員会(fsc.go.jp)のPDF資料に「Solanum nigrum L. var. quineense」と書かれているのが主要因ではないかと思われるが、 ネットではそう記されているサイトがいくつかみられる。(打つの面倒だからコピペでもしたのだろう。)
これはそもそも資料の綴り自体が誤りで、「q」ではなく正しくは「g」。「Solanum nigrum L. var. guineense L.」であり、西アフリカのギニアのイヌホオズキであることを示している。(だから英名もアフリカンナイトシェード。)
委員会が参考・調査に使用した文書自体に文字の誤りがあったのかもしれないし、委員会で資料を作成した人間が、提供された文書の転記時に誤ったのかもしれないが、やめて欲しい…。(欧米文字の資料をゴシック体で見てるとやらかす人がよくいる。)
「学名」は国内の通用名に過ぎない和名とは違い、植物に関連する学問における唯一の正式名。安全を守る組織がこのようなことをしていると、どうしても信頼性に疑問が出る。

その上で。
この学名は、近代的な植物学の祖と言われるリンネ氏自身がつけた古い学名(Solanum nigrum var. guineense L., Sp. Pl. 186 (1753))で、まだイヌホオズキ類の分類研究がされる前、ようは始まりの名に過ぎない。
現在ではイヌホオズキ類も分類研究とその方法がある程度は進んで、イヌホオズキ(Solanum nigrum L.)内の変種や亜種ではなくて別種「Solanum scabrum Miller」とされている。(とりあえず。また変わるかもしれない。)
(ちなみにSolanum melanocerasum等もこの種とされている。)

ところで、国内でムラサキイヌホオズキの和名がついている「Solanum memphiticum Mart.」もこの種である可能性は示されているが、現段階では「?」が付記されている。
ムラサキイヌホオズキもこの種と同様に「葯が紫になる」種類で、けして、国内の個人サイトでたまに見られるような、「紫色の花がついたイヌホオズキ類を適当にそう呼んでいるもの」のことではないので、気をつけて欲しい。
それらの多くは、オオイヌホオズキかアメリカイヌホオズキと思われる。


Solanum scabrumについて。
  • 花序内は10花以上が普通で、大抵多くの花をつけ果実期はかなり密集
  • オシベの葯は黄色のイヌホオズキと異なり褐色か紫(白い花冠でも)
  • 果実は若い時期に不透明なそばかす斑点があり、つやのある深い黒紫に熟す
  • また果実は直径1cm以上あり、特に園芸導入されているものは1.5cm程度はある模様
  • 中の種子サイズはイヌホオズキと同程度の2mm程度
  • 種子数はイヌホオズキのように30から50程度の少ないものではなく、100個を超える
  • 果実内に球状顆粒はない(イヌホオズキ同様)
※もちろん1.5cmもあればイヌホオズキ類としては随分巨大な果実なのだが…
日本の現状では取り寄せによる入手によるためいつも園芸改良された一定レベルの「品質」のものばかりが見られるだろうが、国によっては野生化しているか元々の野生種も生えている上、そもそもいくつもの学名がシノニムとされ同一種に組み入れられているため少しずつ特徴が異なる集合もあるだろうから、果実がいつも大きいとは限らない。
既に日本にもそういった個体が入り込んで帰化している可能性もある。(他のイヌホオズキ類同様に。)
また、植物の栽培地域には必ず伴う不都合だが、これを栽培している地域で別の種類との雑種ができている可能性もある。

安全に、また、責任を持って

あまり周知されていない植物がどうしても欲しい場合、 便利なのは分かるがあまり適当な方法で入手せずに、海外で実績と信頼性がある規模の大きな種苗会社のサイト等から正規で取り寄せをすることをお奨めする。
また、実際にそれを育ててみて「オシベの葯が褐色や紫ではなく他種と同じ黄色のみで全く染まらず、どの果実も1cm程度しかなく数も少なめ」な個体が育った場合は、 この種のうちのそういうタイプなのか別種が届いたのかを正直外見から判別するのは不可能と思われ、摂取は見送った方がよい。
…そもそも「イヌホオズキ類」を敢えて食べようと考える時点で、どれの場合でも同程度に扱いに注意が必要だが。

イヌホオズキの仲間は相当な果実数でその中にとてつもない種子がある植物で、しかもトマトやナスとは違ってかなり実が小さい。目立たずにどんどん稔り、どんどん落ちてしまう。庭で育てれば、必ず外部へ逸出する。(園芸趣味ではなく研究のために専門に扱っている人間でもない限り、管理しきれるわけがない。)
ジャムは美味しいとする人もいるが、そもそも大量の砂糖と大量のレモン汁、リキュール等色々を使用して煮つめる時点でもはやこの植物を敢えて使う必要性はないのだから、あまり安易に導入して欲しくない。(適当に飛びついて育てて逸出させてしまうタイプの人間は往々にして責任をまず取らないだろうし。)


●参考になる公的に出ている主な資料の例:
「Black nightshades, Solanum nigrum L. and related species」
著者: Jennifer M. Edmonds, James A. Chweya, International Plant Genetic Resources Institute
出版: Bioversity International, 1997年

●とりあえず写真が参考になるサイト(確かに本種であると判断してピックアップ):
http://davesgarden.com/products/market/view/8593/
http://blogs.yahoo.co.jp/yukitubaki21/6691221.html

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