まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ネジバナ

ネジバナ トップ
ラン科
ネジバナ属
Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H.Hara

花は子房を除き花被片のみで長さ4mmから5mm程度。非常に小さいとはいえ、よく見ると造形は確かにランで、自然に手抜きはない。草丈は5cmから35cm程度で多くは10cmから15cm程度。捩れて見える密集した総状花序が特徴的で、一目でそれと分かる。色も色なので、小さいとはいえ草地で結構目立つ。
張り付いているためよく見ないと分からないが、ひとつひとつの花には結構大きな苞がある。
寄って見ることはまずないだろうが、花序や子房は結構毛深い。半透明の微細な腺毛が密

草地から荒れ地(裸地)・砂利地まで陽光地であれば生育し、乾いた場所でも生育している。基本的に葉は寝ないで立っている。
これが生育する大概の場所は背景がごちゃごちゃしているのでピントが深く背景がぼけないコンパクトカメラでは引いた絵ではピント合わせでも混乱して後ろに行ったりするが、何より、ぼけない分画像の容量が減ってくれないので掲載用の画像を用意するのが辛い。
また、芝生地以外では葉が他に埋もれて目立たず分かりづらくなる。
家の近所ではかなり大量に見られ、開発工事で一度めちゃくちゃになったがまた空き地として放置された場所では同じところに復活した。結構強い模様。
※宮城エリアの話では、実家の庭に大群生し花期には庭中ピンク色が目立つ。

全景と花序

ネジバナ 全景 ネジバナ 全景 ネジバナ 全景 ネジバナ 群生周囲
ネジバナ 全景 ネジバナ 全景 ネジバナ 薄い色の個体全景 ネジバナ 花
色はまちまちで、濃い紅色から蛍光ピンクのような色、桜色、白まである。

花序の向き

ネジバナ 花序の向き ネジバナ 捩れていない花序 各部の捩れの強さやタイミングは個体毎にまちまちなので色々な感じに見える。
全体を連続として見て左巻きに見えるもの・右巻きに見えるもの・丁度直線になるもの、と色々。
ただ言えるのは、ある花の真下に花がない状況にはなっておらず、ずれていても必ず下に花がある。
※なお、植物学では右巻き・左巻きに関しては説が分かれ、向かっていく方向基準で見る説の場合と向かってくるものを上から見た基準で見る説では丁度逆なので、注意。
どっちでもいいから統一しろと言いたい。…。
立場がとか言うのだったら、「巻き」をやめればよい。「右進」「左進」とでも言えば通じるのだから。

花序と花の様子

ネジバナ 蕾・苞 蕾は立っていた状態から伸びて急に子房先端がくねって横向きに咲く
花序軸や子房は白い腺毛が密生する。
各花にはバランス上は大きい苞がある。色も同じ上海苔のように張り付いて目立たないが、長楕円状倒披針形で縁は少し色が薄く白っぽい。苞には毛が生えないのでよく見ると分かる。蕾時期から花期には子房部を半分隠すくらい。

ネジバナ 花 ネジバナ 花 ネジバナ 花
小さい花とはいえさすがにルーペ接写の被写体としてはだいぶ大きすぎるようで…前方にやや筒のようになるためピントの合った範囲が狭い。
唇弁は最も白い。下に屈曲したとい形で、先側1/3程度の部分はやや広がっている。縁はフリンジ状。なお、内側は二畝状というか二列状に透明の腺毛が生えているが、中央は虫のためか花粉が零れやすいようにか、毛がほとんどない
なお、横から見るか下から見ないと判らないが、唇弁基部はこぶ状に丸っこい距になっている。
他の弁は基部側がやや白いものの基本的に色がはっきりしている。
背萼片と側花弁はセットになっていて、背萼片の先端は弱く持ち上がっている。側萼片は細い。
ネジバナ 花の中と受粉風景
花の中を覗いてみる。(左一枚だけは別の花。他は同じ花を撮った。)
ラン科はメシベとオシベがくっついて「蕊柱」を構成している。まぁ妖怪人間でも宇宙人でも何でもよいが、面白い形をしている。
下前側にある白いふたこぶに見えるものは柱頭で、その後ろの二玉の黄白色の大きなものはオシベの花粉塊。ほっかむりのような濃い褐色のものは肥大している柱部分。
ネジバナでは花粉塊が崩れやすく、中でアザミウマが徘徊しているだけで崩れて自分も受粉でき、アザミウマも花粉まみれになるので他の花へも花粉を持っていってもらえる。

葉の様子

ネジバナ 葉 ネジバナ 葉 ネジバナ 葉
葉は披針形・倒披針形の場合が多い。細かったりかなり広かったり、まちまち。はっきり斜上し、地を這うようにはならない。毛がなくすべすべだが、つやは少ないものが多い。
色味から行けばかなり丈夫そうだが、実際には薄く繊細で、しっとりしている。

白花

ネジバナ 白い花 白花も時折一緒に咲いている。
(※コンピュータの色設定によっては部分的にほんのり桃色がついているように見えるかもしれないが、実際には既に萎れてきて茶色っぽくなっているもので桃色になっているものではない。)

花後から若い果実の様子

ネジバナ 若い果実と苞 ネジバナ 果実 花はかなり早期に花被片を萎ませている。花被片が落ちずに萎れて窄まることで中で自家受粉が行われると思われる。
子房はすぐ膨れていく。思いのほかずんぐりと太って大きくなる。張り付いた苞より幅ができ、はみ出ている。
なお、苞は3脈と両縁がやや筋状に見えるが、小さいこともあり肉眼ではのっぺりしている。

果実期の全景・果実・種子の様子

ネジバナ 果実期の全景 ネジバナ 果実 ネジバナ 果実の拡大 ネジバナ 種子
朔果裂開までが他のランと比べ非常に早く、下部で裂開している段階で上部ではまだ花が咲いていたりもする。
この写真は一週間前に花の盛りだった個体達。(この時ははなから種子の撮影を諦めていたため果実撮影のために5倍ルーペ接続までにしたが、10倍ルーペ接続に切り替えれば種子撮影は可能と思われる。覚えていれば撮ろうと思う。)
(※たまたまついているくもの糸にいくつもくっついている細い小片のようなものがその種子。)

ネジバナ 果実 ネジバナ 果実 ネジバナ 果実 帯状になった細い筋部3本とそれにひれがついたようになった卵形3枚とに分かれるように割ける。
空になった果実もきれいな割け方なのでオブジェとして面白い。6mm程度しかないのだが。

ネジバナ 種子 ネジバナ 種子 ネジバナ 種子
種子の本体は焦げ茶になった細い楕円体で、両端はやや先端がぼさぼさに見える縦に筋がややある半透明薄黄褐色の付属物がついている。
付属部分を含めて長さ0.4mm程度。
焦げ茶の種子部分も多少筋状に見える。
なお、稔らなかった胚珠は中が焦げ茶に色づかず膨れることもないが、それでも付属部分は稔ったもの同様に肥大している。

幼生期の様子

ネジバナ 幼生株

庭の群生

ネジバナ 庭で群生する様子 殖えまくっている。足の踏み場がない。花がないものも、色の濃い斜めに立っている葉はすべてネジバナ。

受粉の憶測と妄想

小さな花だが、これだけでも色々妄想はできる。
これだけ多数の花を密集してかつ同時に多数咲かせる点はわりと独特の姿と言える。
花がぴっちりきれいにつながって苞もぴたっと張り付いて、タイミングをうまく重ねて次々上に向かって咲き送られる。
また、きれいな卵形の「花粉塊」は昆虫の背に丸ごと貼り付いて運ばれる種類と異なりかなり崩れやすいようで、ぱらぱらと花粉の小塊になる。

小塊は唇弁のぼさぼさに引っかかっていたり、トイ状で下にくるんと強く下がった唇弁を伝って下へ落ちていたりする。
また、アザミウマ類がかなりの高確率で中におり花粉塊が崩れやすいため中で動くだけで花粉まみれになってうろうろしている。
(ホソヒラタアブ等もちょこちょこ訪れている。)

独特の密集した花序と妙に下に巻いてトイ状の唇弁は、アザミウマを次々に別の上の花へ登らせ誘導することや下の同時に咲いている花へ花粉をうまく零すことができる構造・仕組みでもあるかもしれない。
子房部や花序軸がかなりの微毛を密生させている点も、うまく花粉が引っかかり下の花にうまく伝うようになっているのかもしれない。
花被片と花の丁度背にある苞は無毛ですべすべしているが、そこで留まられても困るから、と考えれば何となく納得できる。

更に、花被片はわりとすぐ傷んで先端が閉じ絞られたように窄まって萎れ中を圧着・密封するので、その時点での最終的な強制自家受粉という手段も確約できていると思われる。

花確認:
2006(F6)
2007(F6)(F7)
2008(F6)(F7)(F8)(F9)
2009(F6)
2011(F6)
実確認:
2008(C7)(C8)(C9)
2011(C7)

宮城県版のネジバナ属
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