まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ムラサキヒヨドリジョウゴ

ムラサキヒヨドリジョウゴ 全景
ナス科
ナス属
123456789101112

Solanum lyratum Thunb. f. purpuratum Konta et Katsuyama

花は反っている時の径で8mmから1.2cm程度、平開時は1.5cm程度ある(たまに1.8cm程度)。多少絡むが強くは巻きつかないタイプ(どちらかというと乗っかるタイプ)のつる性で、1.5mから数mになる。茎には大量の柔らかく長いやや半透明白色の開出毛が密生する。
茎の性質は、水気は多いもののわりと強靭で草むしり等ではなかなか引きちぎれないことも。
ヒヨドリジョウゴの紫花の形態(forma.、品種。)で、白花のものとは花冠が紫色である点以外に違いはなく、周囲に白も混生し同じ株も年により色変わりしている。(環境が良ければ地上部も枯れずに葉だけ落として越冬し、晩春から夏頃に内部から更新・再生している。木本と思われる。)
葉は3裂から、羽状に5裂ときに7裂し、各裂片には独特の丸みがあり、遠くからでも一目でそれと分かる。栄養状態なんかの都合だろう、全縁で小さな葉も晩秋以降結構見かける。

この紫タイプの方が花の立体感が出る上に渋い感じなのも相まって、白より美しく感じる。
色合い等色々ひどいので、都合の良いものを見つけ次第撮影して入れ替えていく予定。

枝振りの様子

ムラサキヒヨドリジョウゴ 全景 ムラサキヒヨドリジョウゴ 全景 ムラサキヒヨドリジョウゴ 全景 結構賑やかになるが、花序が下垂し花もやや下向きなので葉の様子と一緒に撮るのが難しい場合が多い。

ムラサキヒヨドリジョウゴ 枝ぶり

花序と花の様子

ムラサキヒヨドリジョウゴ 花 ムラサキヒヨドリジョウゴ 花 ムラサキヒヨドリジョウゴ 花序 ムラサキヒヨドリジョウゴ 花
ムラサキヒヨドリジョウゴ 花序 花冠が紫に染まる。この色できりっと締まって見え、通常のヒヨドリジョウゴより強い印象。渋い。
喉部には薄緑の縁のある緑の斑点が、裂片につき2つある。この斑点は、丸から横長楕円
また、同じく喉部なのだが、星状(放射状)の黒い染まりは見られない
黄色の葯には、紫が上乗せされたような染みがあるものもないものもある。つまりヒヨドリジョウゴと同じ。
花冠は通常よく反り返り、羽根突きの羽の様
林内の明るめの場所や林縁等、やや薄暗くなっているところで咲くため、日陰の青が被って撮影後の写真では白と区別しづらいことも…。

葉と茎の様子

ムラサキヒヨドリジョウゴ 葉 ムラサキヒヨドリジョウゴ 葉 ムラサキヒヨドリジョウゴ 葉 ムラサキヒヨドリジョウゴ 葉裏
ムラサキヒヨドリジョウゴ 茎の毛 葉は互生し、花の枝は丁度その葉と対生する。
3から5裂、ときに7裂し中央以外は先が鈍い、独特な形状の葉。(秋遅くになるとエネルギー不足なのか単純な披針形のものも多い。)
括れる湾入部の丸みがきれい。
なお、掌状裂ではなく羽状裂をするので裂片が増えると縦長になっていく。
茎の毛は透明に近く、触ると気持ちのいい柔らかいもの。高密度に生える短毛とそれより少し疎らな長毛とが生えている。
時間の経った、木質化した太い茎だったり冬頃だったりでは毛はなくなっているので注意。

果実の様子

ムラサキヒヨドリジョウゴ 若い果実 いびつで数がほどほどの複散形花序に赤い実がぶら下がり、つやつやしてきれい。写真はまだ若い、緑のままのもの。

この草本の和名・学名について

通常の図鑑ではヒヨドリジョウゴといえば白としか載っていない。
だがワルナスビのように混じる感じではなくしっかり紫は紫の花だけをつけているためこれはこれで品種として名前がないかと探したところ「ムラサキヒヨドリジョウゴ」なる名のものがBGPlantsのYList検索で見つかった。詳細を見ると、わりと最近(2005年)の国立科学博物館の研究報告系論文(近田・松本・勝山)が元の出典のようなので、勝山先生ご本人にお尋ねしてみた。
「ムラサキヒヨドリジョウゴ」は花冠に紫が入る点以外特にヒヨドリジョウゴとの差異はないものとのことだったので、この植物はムラサキヒヨドリジョウゴと同定。
なお、文献は 国立科学博物館から2005年3月22日発行の「Bulletin of the National Science Museum. Series B, Botany」31(1)の、P.19-33。ここには「Corolla pale blue purple」とある。

※別のムラサキヒヨドリジョウゴ

30年以上前の植物誌にもムラサキヒヨドリジョウゴなる和名で学名「f. pubescens (Blume) Sugimoto」の植物があると某所で提示があったためせっかくなので調べたが、さすがにどうにもこうにも見つけられなかった。
ということで関連でまたも勝山先生にお尋ねしてみた(2006/10/28)。お問い合わせするまでこの昔のムラサキヒヨドリジョウゴの記載についてはご存じではなかったようで、どうやら色々調べていただいた模様。(すみません…。)

静岡県植物誌(1984、杉本著)にあるとのことで、「南伊豆(各地に普通)」とあるのでモノの方は勝山先生の示しているのと同じものと思われる、とのこと。Solanum dulcamara L. var. pubescens Blumeという、「ドゥルカマラの毛深い変種」をヒヨドリジョウゴの一形態として学名を組み替えたものではないかとのことで、Blumeの「Solanum dulcamara L. var. pubescens」が実際にこれと同じでかつ、この杉本氏のものが命名規約に則って別途正式に発表されていればそちらが正式な学名となり2005のものはシノニムになるとのこと。(別途の発表文献は今のところ見つからず…。)
(→2009/09/12余談追記:1900年代前半には一時、「Solanum dulcamara」内に置かれたものがいくつかある(それがメジャー説だったかは別として。)。マルバノホロシがSolanum dulcamaraとされる文献と、ヤマホロシがその変種var. heterophyllumになっている文献等が見られた。そう考えれば、当時の命名者は「それの多毛もの」という考え方だったのだろう、と思われる。)

更に追記:かつてヒヨドリジョウゴ自体がSolanum dulcamara var. lyratumやSolanum dulcamara var. pubescensとされた時期があった模様。そもそも結局のところドゥルカマラで開出長軟毛により毛深くなっているものは海外のフォトストックサイトなんかでたまに見られるのだが、それらはちゃんとどう見てもドゥルカマラであって、ヒヨドリジョウゴとは全く異なるものなので、どうかと思う。

花確認:
2006(F8)(F9)
2008(F9)
2012(F8)(F9)
2014(F9)
実確認:
2006(C8)(C9)(C10)(C11)(C12)
2012(C9)
スポンサーサイト






上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。