まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ホトケノザ

ホトケノザ トップ
シソ科 オドリコソウ属
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Lamium amplexicaule L.

長さ1.5cm程度の長細い花を上に向けてつける。草丈は、5cm程度から30cm程度にまでなるが、15cmくらいが多い。
この花に若干似たものに、ヒメオドリコソウがある。生育環境も花の時期もほぼ同じ。
この花は春の七草として言われるホトケノザのことではない。春の七草のホトケノザはタビラコ(コオニタビラコ)を指すので、誤ってこちらを食べないように。
コオニタビラコは、田舎方面ではGW頃に田んぼの中一面に黄色い花をつけていることもある。
※なお、「タビラコ」という言葉がキュウリグサを指したこともある(地域的なものかもしれない)ようで、適当に調べると色々混乱するかもしれない。

成分の掲載されているサイトによればイリドイド(苦味配糖体のひとつ)等が含まれているようなので、食べて嬉しい、おいしい、ものではなさそう。食べて大丈夫かは判らない。

全景の様子

ホトケノザ 全景 これは大人しい個体。環境がよければ下部で四方に枝を拡げまくっている個体も多い。

花の拡大

ホトケノザ 花序 ホトケノザ 花拡大 ホトケノザ 花の拡大 花色とは異なる濃い紫の斑点がある下唇は縁以外が白いものが最も多いようだが、白くならないため斑点が目立たないものも。それとは別に、実際に斑点のないものもあるようだが、今のところ私自身では確認していない。
よく見ているとなんだかかわいらしい形状。
うぶ毛状に赤紫の微細な軟毛が密生し結構毛深い。特に帽子のような上唇の上側では花部のうちでは他の部分より少しばかり長めかつ多め。中央部の毛が最も長い。
閉鎖花もつける
葉腋毎に3、4花はつくので対生することと数段あることを考えるとそれなりの花数ではある。(同時には咲かないので見かけは少ない印象。)
萼は細い裂片。花が終わっている部分でつんつん立っているのが目立つ。外側は開出した白い軟毛が密生しかなり毛深い。

※以下は既に取れ落ちているものを拾って撮影(なので少し傷んでいる)。
仕組み上のものなのかこの花はすぐにぽろっと取れて転がっているので、わりと瑞々しいものを拾える。

ホトケノザ 花の拡大 ホトケノザ オシベ ホトケノザ オシベ前 ホトケノザ オシベ後ろ
ホトケノザ オシベ ホトケノザ オシベ葯後ろの拡大 ホトケノザ オシベ葯横の拡大 花粉は鮮やかなオレンジ色で、極端な細身の長楕円体。
オシベは4本で長短があり、前2本が短い。2本ずつになり前の2本と後ろの2本はそれぞれでペアになって先端で葯部分がくっついていることも多いが、どこかが合着しているわけでもなく粘つくこともないので寄り添っているだけの模様。
葯の背面(基部ではない)に白い長い直毛が密生していて、上下両端で最も目立っている。
半透明で白い花糸は花冠の筒部の途中から平たい状態で発生していて、基部側から上唇にかかる位置位までは微細な開出棘毛が散生している。上に向かってほとんど真っ直ぐ花冠の筒に沿って伸びていて、帽子のような上唇の中で葯付近で急に前に曲がり、縦向きの葯をほぼ正面に向けている。
上のオシベと下のオシベはそれぞれほんの少しだけ相手の方へ葯を傾けているので横から見ると弱い「く」の字状。
葯はほとんど黒の濃褐色で偏平で細身な8を半分にしたようなというか半ひょうたんで前にくびれ側があり背面はほとんど平。花糸の先端は葯と同様に縦長になっていて丸っこく膨れていて、この上に葯がついている。葯は縦に裂開する。

ホトケノザ メシベ オシベの間にメシベが伸びていて、前のオシベと後ろのオシベの間にちょうどはまっていて、花柱先端では枝分かれしている。
メシベの長さが絶妙で、花柱から真っ直ぐで微かに先だけ後ろに曲がったメインの方は後ろ(上)のオシベの2本のオシベの葯の間にあり、途中で枝分かれして前に突き出している方の先端は前(下)の2本のオシベの葯の間にある。オシベが後熟なので葯が裂開してよく花粉を押し出すと、多少の揺れ等で花粉がついて高確率で自家受粉できるだろう。これなら年中咲いていても虫がいないから受粉できないというような問題は出ないと思われる。

葉の様子

ホトケノザ 葉 葉の様子。上部と下部で葉柄に違いがある。
下部の葉は葉柄が顕著で、上へ行くほど短くなり、中部から上部ではほとんどない(一応あるのだが、柄が茎に沿って上に出てすぐ葉が横に向かうので目立たない。)。
形状自体はほとんど同じで、広卵形から半円状に広がってもこもこ丸い裂片(角丸状)に浅くいくつも裂けている葉が対生している。幼生期もそうなのだが、脈の間隔(しわ)はやや広い。
葉柄のない部分では葉の基部が丸く膨らみを形成して2枚でカップのようになっている。
やや先端方向に倒れ気味の白い軟毛が密生している。

果実の様子

ホトケノザ 果実 ホトケノザ 果実 白い開出気味に斜上する軟毛で覆われた非常に毛深い萼の内側に果実が見える。

ホトケノザ 分果の拡大 ホトケノザ 分果 ホトケノザ 果実(分果) ホトケノザ 果実(分果)
倒長卵体の基部をやや引っぱった形状がきれいに4裂した4分果(分離果)(※子房の皮が剥がれたわけではなく元々種子別の部屋を持ちその通り分離してまだ包まれているので種子ではない。種子はその中)で、一つ一つは接していた面が平らなままで膨らみは出ない。外向きになっていた側は丸く膨らんでいるので断面はきれいな扇形。なお、膨らみきっていない時期は頂点がわりと平らなのでそのまま扇形そのものに見える。
基部側1/3程度の位置に白っぽい斑点がある。
長さ1.8mmから2mm程度。

ホトケノザ 分果の基部 分果の下部にぷりっとした白いV字状の小さいものを履いているような感じ。ヒメオドリコソウほど発達していないがこれはエライオソームだろうか。若い分果ではこの部分が大きく、ややべたつく。(分果本体は見かけ上べたつくような印象だが、実際にはまったくべたつかない。)

幼生期の様子(ヒメオドリコソウと比較)

ホトケノザ 幼生期 ヒメオドリコソウ 幼生期 まだ芽が出てそれほど経っていない時期の株。
右は参考用にヒメオドリコソウの写真。どちらもかなり毛深いが、わずかにヒメオドリコソウの方が毛深い。(写真サンプルはちょうど同じ時期のものではないのでわかりづらいが。)
また、ホトケノザは葉脈で区切られた身の部分が長細く大きめ。ヒメオドリコソウはかなり細かく丸い。
各葉はまだ幅5mmから7mm程度。

ホトケノザ 幼生株 こちらは芽出し後すぐ。楕円の子葉は2.5mmから3mm程度。

閉鎖花の群落

ホトケノザ 閉鎖花で青々とした大きな葉の株 ホトケノザ 閉鎖花で青々とした大きな葉の株 栄養状態のよさそうな青々とした草地には、ホトケノザの大株の、青々とした大きな葉の群落がよく見られる。花は大抵、閉鎖花。
白くて先だけが赤紫に染まった小さな小さなこん棒が、閉鎖花。
花後の取れ落ちたものも結構乗って残っている。長さ2.5mmから3mm程度、太さ1mm未満。

雑談

ある年、たまたま店頭で目にした全国規模の某社の七種粥のパッケージにこの植物が描かれていたことがあった。

今更のことで訂正なんてできないし七種粥では年に一日限りだし翌年同じ人が同じ商品のラベルをまたデザインするのも考えづらいし、そんなことでかき回すのはなぁという感じもあったが、一応その企業のカスタマセンターにメールを出すことにした。

まぁ分かってはいることだが単にデザイナーのミスで中身はちゃんとコオニタビラコを使っているとのお詫びのメールが入った。(そりゃ植物自体は本業の農家さまが作って納めるんだし中身はあってるだろう。)
まぁよく分からないから名前だけでネットで適当に画像を探したのだろうが、「検索する」という行為について根本を分かっていないのだろう。検索サイトで出てきたリストはスタート、とっかかり。そこから多数の資料を確認することで自分で取捨・吟味してどれが正しいか導いていく必要がある。そこまで含めて、初めて検索だとちゃんと分かって欲しい。
日本人の感覚を揶揄する笑い話的に「間違ったことも活字(本、新聞)になったら「真実」だ」、みたいなことも言われるが、ほんとにそれを地で行く感じの日本人が多いので、情けなくなる。
パソコンの使い方は知っているけれどそういう本質的なことが分かっていない。こういうことは、そもそもパソコンの中か外かの問題ではない。ただの資料やツールでしかないということをはっきり理解し、すべて自分の労力と責任で理解していく必要がある。

まぁそれは単にその個人のことで、問題はそこではない。その人が恥じ入るだけのこと。
そんなことより、ようはパッケージやラベルは「その商品の顔」であり、つまりはその商品を手に取った客からすれば「その企業の顔」でもある。そこを軽く考えて、ひとりのデザイナーにぽんと任せ商品が出荷されるまでチェックされずに終わっている、という点が見えてくる。
「顔」をデザインするのにその中身にどのようなものが入っているか正しく把握すらしないまま全て進んでいくというスタイルは、本来、異常なこと。
ましてや、これは口に入れ食べる商品のラベル。
それは企業の姿勢として先を考えるとよいことではないので、勝手な老婆心(…毎日行くしファンなんで。)でメールをしてみた、ということ。
これで「鬱陶しい余計なクレーマーのせいで味わった苦い経験」がひとつ蓄積され「おい気をつけろよ」くらいの空気はその部署くらいには多少流れてくれるかもしれない。そうなれば、後に別のことで大きな問題が出ることをひょっとしたら防げるかもしれない。そんなきっかけになるかもしれない小石を、身勝手な私が放り込んでみたというだけのこと。

どのみち小うるさいことを私が言ってもその場で終わるので、これで何をどう考えるかはその企業に任せることにし、出したメールには単に、ラベルのデザインに七種のじゃないホトケノザが描かれるんで気をつけてください程度のことしか書いてはいない。

花確認:
2006(F3)(F4)(F5)(F6)(F7)(F10)(F11)(F12)
2007(F1)(F2)(F3)(F4)(F7)(F10)(F11)(F12)
2008(F1)(F2)(F3)(F4)(F10)(F11)(F12)
2009(F1)(F2)(F3)(F4)(F9)(F10)(F11)(F12)
2010(F1)
2011(F3)(F4)
2012(F3)
2013(F2)(F3)
実確認:
2007(C2)(C3)
2008(C1)(C2)(C3)(C4)
2010(C1)
2013(C3)

宮城県版のオドリコソウ属
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