まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

アキノタネツケバナ

アキノタネツケバナ 花序
アブラナ科
タネツケバナ属
Cardamine autumnalis Koidz

※生育時期が秋という都合により、この種は、環境の違い・育ちきる時期の違いでかなり形態が変化する
水路脇や側溝の中等湿気がかなり多い場所に生えるものが多い。たまに畑脇(多少湿気はあるものの。)にも見られるが傾向としてはタネツケバナより湿気を必要とする模様。ただし水の中自体には生えていない。
周辺ではどぶの脇やどぶの中の中洲状に土のたまった場所でこの時期かなり繁茂する。
花は5mmから6mm程度、草丈は20cmから35cm程度、栄養状態のよさそうな土壌では更に大きくなる。
葉は羽状複生葉。
葉の小裂片が幅広いのでかなり葉が茂った印象になる。
花期にロゼットは形成していない。また、茎の伸びていない時期にも根生葉は数が少なくひょろっと斜上して立っている。

下部から中部で分枝しそれぞれ斜上、よく枝を分けることと、多く幅広い葉がよく被さることで、蔓延ると主茎が少し分かりにくい。茎はわりと柔らかく、何となく美味しそう。

周辺でこの種が見られる場所では毎年秋?冬に最盛期で、ほとんどは早春くらいには果実も終わり枯れている。春先以降には花は見られない。
なお…秋時期でも温かくなっている場所(壁の脇等)等ではタネツケバナがずれて咲いていたりするので、秋冬に見つけたからといってアキノタネツケバナとせずタネツケバナの可能性もきちんと考慮するべき。(形態も質感も異なるので大抵一目で分かると思われる。)

なお、腋芽が接地していると発根し娘個体として分離し成育するのが大きな特徴とされ、実際、下部で土に接していると葉腋の上に出た脇枝の基部を根が取り巻く。

秋口までにきちんと育った個体の様子

アキノタネツケバナ 全景 アキノタネツケバナ 全景 アキノタネツケバナ 花序 アキノタネツケバナ 全景
アキノタネツケバナ 花序 アキノタネツケバナ 葉 根生葉に形態が近い、小裂片がかなり広くやや重なる葉がつきよく繁茂して見える形態。まだ暖かいうちに育ち切れたためと思われる。

花序と花の拡大

アキノタネツケバナ 花序 アキノタネツケバナ 花 花はわりと大きいので、花弁のしっとりした質感が目で見て取れる。
オシベは6本
花柄は花より長い。
果実部の長さは2cm程度。種子は仕切りの両側でそれぞれ1列に並ぶ。

元気な株では凛としゃんとしているので、花柄は果柄まで同程度の角度で50度?60度程度を保ち、果実はそこから少し内に折れ、ほんの少し湾曲するもののほぼ真っ直ぐで、斜上。(結果、茎と30度程度なので少し外開きに見える。タネツケバナと似た感じか。)
まだまだ子株気味で根生葉ばかりの時期に花が咲き実の成ったものや、弱々しい真冬の個体では、果柄・果実ともだらしなく開出気味で全体になよなよしているものも多い。

幼生期の様子(根生葉の様子)

アキノタネツケバナ 幼生株 アキノタネツケバナ 幼生株 アキノタネツケバナ 幼生株に近いまま咲いたもの 他のタネツケバナと違い、多くの葉がはっきりしたロゼットになる形態ではなく、少数の根生葉が斜上してかなり立ち、雰囲気が全く異なる。
個体によってはこの状態のまま数cmだけ茎を出して数の少ない花序をつけてさっさと咲く。(右の写真)
頂小裂片は基部が浅心形からほぼ切形かなり幅が広く超広卵形以上なので、やや腎臓形っぽくなるものもある。
各小裂片は形態が幅広なのと相まって、シルエット的には掌状に切れ込んでいる感じ。(※ただしシルエット上だけで、実際にはよく見れば脈自体は羽状に入っているので構造上は羽状に切れ込んでいる。)
切れ込みはそれぞれの先端がやや丸く縁が湾曲するので「もくもく」といった感じ
側小裂片も広くよく切れ込んでいて、側小裂片同士がやや重なり合うものも多い。側小裂片では後方側の方が切れ込みが強く重心もそちらに偏っている。
頂小裂片とそのすぐ下の側小裂片とが3つセットでかたまって3つが全裂していないものもよくあり、そうなるとそれぞれの基部はくさび形になる。
随分葉の身部分が多く瑞々しい感じで、雰囲気的には野菜のよう。サイズもタネツケバナ等と比べるとかなり大きめ。
小裂片はどれも柄状部分がはっきりしている。

秋までに育ち切った個体での葉の様子

アキノタネツケバナ 根生葉 アキノタネツケバナ 中部の葉 上部では細身の形態になる場合と根生葉に似た形態になる場合とがあるが、ほぼ完全に連続的。いくつかの群落をそれぞれ継続観察していると、個体の性質としてのものではなく葉が育ち切る時期までの環境が要因でころころ変わっている模様
根生葉と同じような大きくよく切れ込んだ元気な葉になるのは早い時期によく育ち切っている個体で多く見られる。
12月半ば頃以降にようやく伸びるような少し遅いものではこのタイプには滅多にならない。
(なので…千植誌の記述はやや二形性(上部と下部とで形態がやや変わる)がある、というような記述になっている。)

育ち切るのが冬だった個体での葉の様子

アキノタネツケバナ 最下の葉 アキノタネツケバナ 中部の葉 アキノタネツケバナ 中部の葉 アキノタネツケバナ 上部の葉
アキノタネツケバナ 上部の葉 アキノタネツケバナ 上部の葉 中部から上部の葉は片が細身。
頂裂片は基部が強いくさび形で細身、三つに切れ込むものが多い。
側裂片は柄状部分がほとんどなく基部はくさび形、形状は倒長楕円程度で先端はやや鈍い。
切れ込まないか、もしくは後方側だけ切れ込んで細いミトン状になるものが多い。
下部の葉とのバランス上、タネツケバナ等と比べ上部の葉も大きめ。

下部の茎の毛の様子

アキノタネツケバナ 茎下部の毛 茎は基部から中部近くまでは白く短い軟毛が多く生え、上部は無毛。ただし葉腋から出る脇枝毎にリセットされるようでそれぞれの「下部」にも毛が多い

(写真なし)

やや接地している下部の葉腋の上面で、腋芽状の枝の基部を取り巻いく感じにはっきりとした長めの発根を確認できる。極端に接地していなくても結構出やすいようで、近辺の群落では茎の下部でそれなりの長さが地を這っている株ならどれを選んでもはっきりした発根が確認できる。(※大抵埋もれていないので抜かずに確認できる。)

2007年10月下旬の別群落

アキノタネツケバナ 全景 アキノタネツケバナ 幼生株 場所柄、栄養状態が悪い葉で各種の植物が小型。なのでこれも一見タネツケバナというくらいに葉が小さい。ただしそれと比べるとやはり根生葉の数は少なく、幼生期にもきれいな厚いロゼットになっていない。

下は葉と発根の様子
アキノタネツケバナ 葉 アキノタネツケバナ 葉 アキノタネツケバナ 葉腋腋芽発根
根生葉・下部の葉では丸っこい小裂片(小葉のようなもの)で、根生葉を中心に頂小裂片がよく切れ込んでいる。小葉柄(的なもの)は顕著だが、赤で示したように上部のものでは細く小葉柄(的なもの)はなくなる
それぞれ小型だが数だけはかなりあったのでちょっと引き上げてみたところ、茎の下部の方、やや寝ていて地面に近い各所では、葉腋の枝基部周囲から白くてきれいで長い根が何本も出ているのを確認。
これらは土の中ではなく地上で発根して先端が土に潜っていた。

アキノタネツケバナには「茎上の葉腋から出た腋芽が接地すると娘個体となり栄養繁殖を行うという特性」(千植誌2003)があるので、湿り気の少し少ないこの群落も、アキノタネツケバナでよいものと思われるが…。

花確認:
2006(F11)(F12)
2007(F2)(F3)(F4)(F10)(F12)
2008(F1)(F10)(F11)
実確認:
2006(C11)(C12)
2007(C2)(C3)(C4)(C5)(C10)(C12)
2008(C1)(C10)(C11)

宮城県版のタネツケバナ属
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