まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

オオカワヂシャ

オオカワヂシャ トップ
オオバコ科クワガタソウ連
クワガタソウ属
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Veronica anagallis-aquatica L.

花は径8mm程度(たまに少し小さい)で、とりあえずカワヂシャより一回り大きい。オオイヌノフグリより少し小さい程度。
草丈は通常の株で20cm~40cm程度。3cmや5cmの超矮小株にもなり、とりあえずなんとかして花をつけ実を稔らせる。
上の方まではっきり大きな、平開からやや持ち上がった十字対生の無柄の葉の脇からそれぞれよく開いた枝や花序を出し斜上させる。
全草、(ぱっと見では)ほぼ無毛
カワヂシャと比べ花は美しいというか派手。

川縁でも水気の多めな岸や高水敷であまり他の草のない場所に多く生え、カワヂシャと競合し混生する。
(荒れ地ではほんの数cmの丈で2、3対だけの葉をつけいくつかだけの花を咲かせ、シンプルなシルエットになっている。)

特定外来生物と、扱い

環境・生態系への影響が大きいとみなされる種が指定される「特定外来生物」のひとつで、河川を中心に拡がっている。
在来で生育環境が競合するカワヂシャと交雑し、雑種のホナガカワヂシャを作る。
この直接の雑種そのものは不稔だが、その花粉が親の種類に戻し交配されると果実ができ育つようで、遺伝的な汚染が拡がり元の種が失われる可能性もある。
※ただ本来、それを「問題」とみなすのはこれまでの交配による進化の歴史の一端を根本的に否定するもので、個人的にはあまりしっくり来ない。
「環境保護」は「こうあって欲しい」という状態を維持するための人間のエゴだとは、思う。私自身も「人間」の一人なので維持はどちらかといえばしていきたい方だが。

特定外来生物の指定下の植物は、他人様の庭等でなければ即引き抜いて枯らして構わないと行政側から回答を得ている。
ただ…法律上「持ち出し」が禁止されていてそれ以上の行為(刈ったり抜き取ったりしたのを、ごみにして外へ移動する等。)ができない。焚き火も条例で禁止されるので…この手の植物は抜いておいたところで果実は稔り零れ、そのまま放置しかできない個人での対応ではあまり意味がないのが事実。

なお、このタイプの青紫系の花をつけ花序が伸びているのをホナガカワヂシャだと短絡しないこと。
カワヂシャもオオカワヂシャも花期後期以降花序はどんどんひょろっと伸び、伸び具合そのもので言えば同じ。ただ果実がちゃんと膨らむので間延びした違和感がないだけ。
(ホナガカワヂシャの方も撮影は終わっているので、そのうち公開する。)

全景の様子

オオカワヂシャ 群落・周囲の様子 オオカワヂシャ 全景 引いた周囲の様子できらきら白い点々はほぼ全てこのオオカワヂシャの花。(カワヂシャと混生しているが、これに写っている範囲にはカワヂシャは少ない。)

オオカワヂシャ 全景 オオカワヂシャ 全景 オオカワヂシャ 全景 オオカワヂシャ 全景
オシベ・メシベの位置等形態的にかなり自家受粉しやすいのだろう、ほとんどが実になる。カワヂシャの場合も、同じ。
右の写真はかなり後期で、ほとんどが実になって花序(果序)が伸びまくって全体にスマートなシルエット。ちょっとかっこいいが、花が小さく見えて地味になってしまう。

花序と花の様子

オオカワヂシャ 花序と花 オオカワヂシャ 花序と花 オオカワヂシャ 花と花序 対生の葉腋から花序軸を横かかなり斜めに出して先の方で緩やかに湾曲。
花柄、花序軸は基本的に赤紫褐色に染まり、アクセントになっている。また、若い葉や若い萼、苞も縁を中心に染まり、やはりアクセントになる。
各花柄には基部に披針形の苞がつく。花序の下の方ではわりと大きくなっている場合もある。
花序軸にはつぶさに観察すると部分的にごく微量の腺毛が生えてはいるが、ほとんど無毛ですべすべ
花は全体が透明感のない薄紫に染まっていて、形としては典型的なクワガタソウ属の花形で浅皿状によく開く。上と左右の3裂片はやや三角状の広卵形でおよそ同程度の大きさ、下の裂片は卵形~広卵形で最も小さい。
各裂片ともふっくら太い。
花冠中央付近は白く色が抜けていて、毛深い。更に奥では黄緑になっている。
上片と側片には紺色ないし藍色の条がはっきり出ていて、側片ではほとんどシンプル、上片のものはとても太くはっきり途中で二股に分かれる。先に行くほど赤みが少し強くなり、裂片の地に紛れる頃には全体に赤みがはっきりするため、裂片の先端付近だけ少し赤みがあるようなグラデーションに見える。
下片ではうっすら数本だけシンプルな条があるが、あまり目立たず花によってはほぼ消失している。
花の中央部には縦に段になって雪だるま状の明るい黄緑の子房が見える。子房の中央には先に行くほど太くなる2mm~3mm程度の棒状の赤紫の花柱があり、先端は白いぼさぼさ微細な毛の生えた柱頭がある。
花柱はやや下向きに出て弱く弓状に上向く。
オシベは2本で、先太りの花糸。ぱっと見では単に先太りしているがよく見ると倒披針体で、ほぼ直立して出て少し先で外向きに弱く湾曲し、先端手前で再度内向き(前向き)に弱く湾曲するS字湾曲。オオイヌノフグリほどはっきりはしないが、カワヂシャと比べるとだいぶ分かりやすく湾曲する。花糸は少し薄紫の色味があるがほとんど白に見える。
花糸は子房の雪だるまの頭の左右から出て少しだけ下向き。(よく見るとS字湾曲が実は立体的で縦も変化していて、やや下に向かい先端手前で前向きに戻っている。)
先端の葯は紺色花粉は白い
萼は4枚になり、花冠裂片と45度ずれて正面からも少し見える。上の片が少し大きく下の片が少し小さい。どちらも長楕円状狭卵形で、縁はカワヂシャのものより少し丸みがある。
花柄は、蕾時期にぴっちりくっついて並んで真上を向いているが段々緩く開いて斜上していく。果実期に向け花柄の変化は続いて、およそ真上向きで開花を始め、最盛状態では斜めから段々正面向きに近くなる。

葉と茎の様子

オオカワヂシャ 葉と茎 オオカワヂシャ 葉と茎
オオカワヂシャ 葉 オオカワヂシャ 葉 葉は対生で、長いもので8cm~10cm程度。上の方までわりと大きめのままなのはカワヂシャと同様。
長楕円形、長楕円状卵形、狭卵形、卵形、三角状卵形、三角形と色々な形になる。とりあえずいつも太め
先端ははっきり角(かど)になるものから丸くなるものまである。基部は三角状円形で弱く左右に張り出すか強めの円形、茎を抱いて対の葉と後部が接する
縁は全縁から波状、低い不整鋸歯状まであるが、どれも基本的にぱっと見ではがたつきが少なくシンプルに見える。
葉脈の皺ははっきりしている。また、基部からの3本ないし5本は葉脈がはっきりしている。
すべすべして薄く柔らかい。
葉色はカワヂシャより少し強いが並んでいても似たようなもの、ただし多少赤紫褐色の色素が入る葉もわりと見られ、その場合は結構違って見える。

オオカワヂシャとカワヂシャの葉 混生するオオカワヂシャとカワヂシャの葉を一緒に撮ってみた。

オオカワヂシャ 株元 株元の様子。葉は小さく、基部は円形で、平たい明瞭な葉柄があり、葉柄基部は茎の直前で幅が広くなっている。
茎も染まりまくって、褐色系ではなく完全に赤紫。

オオカワヂシャ 葉と茎 オオカワヂシャ 茎とその節周辺 茎は、日の当たる側を中心に赤紫褐色に染まっていることも多い。下部では茎も葉も染まる。
また、節付近は枝や花序の出る部分から少し上までが強く赤紫に染まる

果実期の果序と果実の様子

オオカワヂシャ 果実 オオカワヂシャ 果実 オオカワヂシャ 果実 オオカワヂシャ 果実
果実期には、花期にほとんど真っ直ぐでわずかに弓状程度だった個々の花柄は少しだけ伸びて8mm程度になった上で上方により湾曲して、果実がやや上向きになる。
また、花序軸そのものも後期に伸びてくると少し弓状になるものが多め。後期から果実期には花序全体が10cm程度に伸びるが、果実も膨らみ萼も伸びるのでシルエット自体は間延びした感じにはならない
果実は蒴果で、花期の雪だるまから形が変わり、稜のあるやや水滴状の卵体を二つ押し付けたような下膨れ形状で、段々少し赤みのある褐色に染まる。稜のせいで少し扁平に見えるが、はっきり膨らむ。ただし雪だるまだった頃の窪みははっきりお尻のように絞られたまま。
カワヂシャとよく似た形状だが、先端に宿存する花柱は長くて果実の長さと大差なく3mm程度。

種子の様子

オオカワヂシャ 種子 オオカワヂシャ 種子 オオカワヂシャ 種子
カメラを200mmまでズームした上で、5倍ルーペと7倍ルーペを結合したものを接続して…手持ち撮影したものを、トリミング。さすがに画質が悪い。
(※特定外来生物なので、持ち帰らないこと。)
種子は長さ0.4mm程度で、褐色。
偏平な楕円形で、裏面(内面)はほぼ平らで縁(へり)が少しある感じ。基部は少し尖るがカワヂシャより丸みがある。
高倍率ルーペで見ると、裏面(内面)では基部から2/3程度、弱い畝に囲まれた筋のようなへそがあり、その終端には小さな窪みがある。窪みはカワヂシャのものより少し目立つ。
全体はあばた状にぶつぶつしている。

虫の訪れ

オオカワヂシャ 虫(アブ) カワヂシャで撮ったのと同じアブが…。さっと来たので大急ぎでAFかけて何とか撮った。今のカメラはAFがとことん遅いので、1枚だけ撮れたもののすぐ居なくなってしまった。

花確認:
2007(F4)(F5)
2008(F4)
2013(F5)
実確認:
2007(C4)(C5)
2013(C5)

宮城県版のクワガタソウ属
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