まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

キンラン

キンラン 全景
ラン科
キンラン属
Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume

花は幅1.8cmから2cm程度、よく「開いた」ものでは2.5cm程度。草丈は30cm程度が多いが50cm程度のものも結構あるし、同じ株で地上部が何本も突き出している元気なものも多い。
林床に咲く貴重な花。ただし県内ではわりと普通種で、住宅地脇の林等でもちょこちょこ咲いているのが見られる。
またそういった場所のそばでは、大通りの植え込みの陰でもひっそり咲いていたりする。
杉林や雑木林に咲くが、暗い杉林で木々の間からの直射光条を斜めに受け輝く個体はとても綺麗だなと感じる。(もちろんただの黄色だが。)
庭で咲いてもただ黄色い小さめの花なんだから、林に咲く自然な姿を美しいと感じて楽しんで欲しいなと思う。(そもそも、共生する菌類が必要な類は盗掘して持って帰っても枯れてしまう。)

葉は広く立派で、大きさも結構ある。
花数は3花から6花程度が多いのだが、これまで確認した最大の花数の株では、不良気味な蕾も併せると27花だった。一週間後に訪問したところ、盗掘されていた。毎度、怒りがこみ上げる。
10花程度の株ならちょこちょこ見られる。
そばにササバギンランが生育している場合も多い。同属である点もあり、同じタイプの菌と共生しているのだろうか。(時期についても、キンランより開花が少しばかり遅い程度でほぼ同じ頃。)

(千葉県版のぶらぶらエリアではギンランは見つけていないので、宮城県版を参照…。今年あたり見つからないかな…。)

寂しい思い

私は、ラン等の数の少ない種の撮影時には、必ず見えうる限りの距離に人がいないことをよく確認してからそっと行い、人が遠くにでも見えたらそっとやや離れたところへ移動して別の向きで別のもの(笹とか樹とか)を撮影するふりをするようにしている。
キンランの場合はさすがに色も大きさもあるため目ざとい人は見つけていくが、まぁ他の場合は大抵私がカメラを向けているあらぬ方をちらと見て興味を引くようなものが何もないので去っていく。
何だか色々な意味で色々なことが情けなくて、仕方ない。

全景の様子

キンラン 全景 キンラン 全景 キンラン 全景 キンラン 全景
キンラン 全景 杉等の暗い林床にも、広葉樹の明るい林床にも、林内のうっそうとした笹薮の下にも、結構元気に生えている。
せっかく状態の良いきれいな株でも、笹薮ではまともに撮影できないが。
4枚目は、竹林。

花の拡大

キンラン 花 キンラン 花 キンラン 花 左から、順を追って並べた。
きれいに開いた花を見ると中にはアクセントが。唇弁の内側には縦のひれのようなものが7枚程度あり、橙か朱色に染まっている。「隆起線」等と呼ばれる模様。

子房と距

キンラン 花・子房 キンラン 花の距 キンラン 花の距・蕊柱 花の下で花柄のように見える、ねじねじと捩れた柄のような部分は子房。なんだか面白い。花柄そのものはない。
唇弁の奥の方が距になっていて、顎かのどぼとけみたいに見える。
右の写真のものは、顎割れな感じ(やや2こぶ)。
なお、二つ眼のへんてこな黄緑で立っているものは蕊柱。オシベとメシベがまとまったもの。

キンラン 子房部と苞 植物体の各所に微細な乳頭状突起があるため、ルーペ等で見るとそこらじゅうがざらざらした印象。
子房の基部には三角形の小さな苞が子房に張り付くようについているが、肉眼ではよく見ないと気づかない。

葉と株元の様子

キンラン 普通の葉 キンラン 丸葉
キンラン 葉 キンラン 茎(株元) 葉は幅3cmから8cm(!)程度で長さ10cmから15cm程度。伸びきるほど広くなる傾向自体は一応あるが、その中でもササバギンラン並みに細い葉のものからやたら丸い葉まである。基本的には広めの披針形で、基部は茎を強く包み込み、互生する。よく立った葉は、とても目立つ。
枚数は5から7枚前後が多い。
脈が強く出ていてぱっと見た感じでは葉質は硬そうだが、実際にはかなり繊細で柔らかい。ひらひら。

キンラン 節部分の乳頭状突起 節部分では、葉の両脇で特に白い乳頭状突起がぼさぼさうねうねと目立つ場合が多い。

若い株から開花へ

キンラン 若い株(葉・茎) キンラン 若い株もうじき ようやく蕾も見えてきたがまだ若い個体。写真の都合でよく判らないと思うが、黄緑をしているものの強い燃える黄色が下地に見える。はっきり強い色。
互生の葉が前の葉に隠され次の葉を隠し段々になっていて面白い。
48時間後には、もうちゃんと咲いていた(これで開花している)。

花後

キンラン 若い果実 開花時に確認してから毎週、いくつかの個体の定点観測をしていた際のひとつ。開花後3週間。子房も徐々に膨らんできている。葉は横になり、開花時期の茎を極端に抱いて上に立っているものと大きく雰囲気も異なる。
なお、かなりの数が盗掘されたようで株そのものが確認できなかったものも多く、また、びっしりついていたアブラムシやカメムシ(プスプス、チューチューと吸っている。アブラムシにはアリもたかり、かなり虫まみれになる。)やら何やらわからない甲虫類による食害で折れてたり最終的に子房がなくなってしまったものばかり。

果実(朔果)

キンラン 果実 キンラン 果実 左、ある個体の2007年6月17日。右、2007年8月19日。
茶色くなったが、周辺の様子から草刈りの出入りか何かで踏まれたらしく倒れてた(まだ緑)のを以前に確認しているので、まぁこうなるだろうと思っていた。いい時期になったから枯れたわけではなく、それが原因だろう。
まぁこれで種子が散れば発芽率がある程度高い時期の種子にたまたまなるのではないか?…、と自分を慰めておく。
(※この株については、花が終わって花被片が萎れてくしゃくしゃになったのが2007年5月20日。)
まぁ、来年を見よう…。

キンラン 果実期へ(全景) ちなみにこの株は上部がアブラムシとアリまみれで、さすがにアップは撮りたくなかった。

開放後の果実(朔果)

キンラン 果実期最終全景 キンラン 果実期最終拡大 上で踏まれてだめになったのとは別に継続観察していた個体。2008年1月末の確認では、このようになった。うまく膨らんでいたので期待して見守ってきたが、無事開いてこぼれた模様。少しほっとした。
この時のシーズンは結局、果実を確認できたのは一桁だった。

シロバナキンラン

シロバナキンラン 全景 シロバナキンラン 花序 シロバナキンラン 全景 キンラン 全景
キンランには、クリーム色のような薄い色の花になるシロバナキンランと呼ばれる形態(forma.、品種。)がある。
立ったままでほとんど閉じた葉に包まれている蕾の段階から普通のキンランと色が異なりすぐそれと判るが、咲いて行くに従って更に色が抜けていく。下の花ほど先に咲くため色落ちも大きくなり、上まで咲いた頃には下の花はかなり白っぽい花になっている。
このステージまでくるとかなり薄くなっているので見てすぐ「白いなぁ」とぱっと思うのだが、この場所はすぐそばに純白のササバギンランが多数生えているため、「あぁ、やっぱそんな白くないかな?」とも思ってしまう。…。
右のものは参考用で、これのすぐそばで一緒に咲いている通常のキンラン。シロバナキンランの写真のものと同レベルのステージで同じように下部の花の花被片がほぼ脱落しかけているのだが、その花を含めどの花被片でも色は落ちていない。通常このままくすんだ黄色で濃く萎びて(橙褐色っぽくなり)貼りつくか脱落する。
シロバナキンラン イモムシと蚊 このイモムシ、片方の花をかなりの速度で食べ進んで唇弁の距付近だけ残した後、隣の花をも食べつくす勢い。キンランには、アブラムシやアリの他、イモムシがいることも結構多い。
距の周辺を残すのは、蜜が溜まっていて食べにくいとか蜜が美味しくないとか、彼らなりに何か理由があるのだろうか?


花確認:
2007(F4)(F5)
2008(F4)(F5)
2010(F5)
2011(F5)
2012(F4)(F5)
実確認:
2007(C5)(C6)(C7)(C8)(C9)(C10)(C11)(C12)
2009(C11)

宮城県版のキンラン属
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