まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

カワヂシャ

カワヂシャ トップ
オオバコ科クワガタソウ連
クワガタソウ属
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Veronica undulata Wall.

花は径4mmから5mm程度。草丈は20cmから60cm程度とかなりまちまちで、環境に大きく左右される。全体の黄緑が明るく鮮やか。川岸や田んぼ脇等、湿地に生える。

なお、チシャとはレタスを意味する言葉だが、日常どこかで使われることはまずないだろう。
かつて、道路脇の砂利部に育っているものを一かけ実際に味見してみたことがあるが、まぁ確かにやや常食の野菜っぽくはあり、知らずに食卓に出れば普通に食べると思われる。(水菜の生食なんかよりはよほどおいしいし香りもましだと個人的には感じた。)


幸い千葉県ではレッドデータブック(RDB)にもなく、ぷち図鑑のぶらぶらエリア周辺ではほったらかしの場所もまだ多く(→2010年現在、ほとんどなくなった)厄介なほど大量に見られるような場所もちょこちょこあるが、全国的には減っていて貴重な種類となりつつある。
家の近所では数箇所で見られるが、2015年くらいにはすべて開発で土地ごと消失すると思われる。

オオカワヂシャのこと

色の美しいもう少し大型の花をつける「オオカワヂシャ」という帰化植物があり、 これは環境省で生態系を乱す等の危険のある生物「特定外来生物」として第二次指定で追加登録されており、持ち出しや栽培は禁止されている。

特定外来生物にあたる植物は、所有権上問題のない場所に生えている場合(空き地や道端等)、特に許可を得ることなく引き抜いて枯らして構わないとのこと。(※これは私の個人的見解ではなく、役所に直接質問した際の回答に拠る。)
ただし手続きせずに引っこ抜く場合そこから動かせないため、よほど早期の個体でない限り枯れるまでに実をつけて必ず種子を零すので実際にはほぼ効果はない。焼けば手っ取り早いと思われるだろうが、そもそも焚き火の類は大概の自治体で条例違反となるので不可能。
(※ところで、誤ってカワヂシャの方を抜かないように気をつけて欲しい。両方見たことのある人は間違うことはないだろうが…。)

なお、両者の雑種とされるホナガカワヂシャという植物もある。
生えている場所のせいもあるのだろうが、クワガタソウ属にしては蜜が美味しくないのかどうか、花にはアリが居ることがほとんどなく、他にはまれに小さなヒラタアブ系の虫が来るくらいなので、自家受粉になる確率が高くて雑種の数が混生の状況から感じるより少なく済んでいるのかなと思う。(後述するオシベとメシベの形も影響していると思うが。)
(茎で汁を吸うアブラムシは多数見られる。)

少し荒れた道路脇の痩せ地での全景と周囲

カワヂシャ 全景 カワヂシャ 全景 カワヂシャ 上部 明るいが渋めな色合いで葉は小さめ、草丈も30cm程度までが多い。民家そばの道路脇で、草の溜まった場所に多数生えている群落。
バランス的には葉は少し小さく、全体に本来より花が目立つようになるのでちょっとかわいらしい。なお、寸詰まりなので分かりづらいが花数はやや少なめで枝数も少なめ。


↓同じ通りの道路脇で100m程度歩くと、少し土が多くなった部分があり、ここでは丈はほどほどだがわりと立派な育ちになっている。
カワヂシャ 群落周囲 カワヂシャ 群落 開花初期。
花序が伸びていないので、バランス上かなり大きな十字の開出葉がかたまって少数の花が咲いていて、最盛期とは雰囲気が異なる。

カワヂシャ 全景 カワヂシャ 全景 カワヂシャ 全景 カワヂシャ 全景・周囲
カワヂシャ 全景・周囲 よく育ち花序も開花後期に入り、花序内中部以下に若い果実ができ、だいぶ伸びて全体シルエットもスマートでバランスがよくなっている。
一番美しい状態だが、群落ではごちゃごちゃして個体が分かりづらくなる。(きれいな写真を撮りたい場合、ちょっと困る。)
もう5日も経つと、少し間延びが強く花もほとんどなくなりひょろっとバランスが悪くなる。

大きめで標準的な葉のつき方・バランスの株

カワヂシャ 全景 カワヂシャ 上部 カワヂシャ 全景 カワヂシャ 花序
花序下までバランス的に葉が大きい
明るい葉色は写真にすると単に黄色被りするか実際とは違う青々と強い色に写ってしまい、あまりうまく行かない。図鑑を含め他人の写真を見ていても、そう感じる。
家のそばでは何ヶ所かで民家の前や道路脇にも生えているので、見に行きたければ散歩に出ればいい。楽。

花の様子・花序軸の様子

カワヂシャ 花序 カワヂシャ 花序 カワヂシャ 花 4月の初め頃の咲き始めには総状の花序は軸がまだ詰まってずんぐりしている。咲き終わるところから軸が間延びしていく。

カワヂシャ 花 カワヂシャ 花 カワヂシャ 花 カワヂシャ 花のオシベメシベ 自家受粉中
カワヂシャ 花 花冠は4深裂し、各裂片は角が丸い。上裂片は直角二等辺三角形くらい広い三角状広卵形、 側裂片は丸みが強めで下裂片側に少し曲がった広卵形で上裂片と少し大きいか小さいがほとんど同じくらいの大きさ、下裂片は楕円状卵形で最も小さい。
きれいな頭でっかち系のまさにクワガタソウ属の形。
白地の花色で、特に上裂片を中心に数本の少しぼんやり滲んだ薄いピンク系赤紫系の条があるが、色が薄めな上に花が全体に比してかなり小さく、かなり大写ししていない限り分かりづらい。肉眼では分かっても写真では全景写真の場合この条はほとんど分からなくなる。
花冠基部は鮮やかな黄緑で、白い毛が中央に向かって密生している。
オシベは、オオイヌノフグリ等とは結構異なる。うっかり、これも同じ仲間だからあのS字の面白い立体なんだろう、とか思って見ると、びっくり。先入観はだめだと思い知る。わずかに外に向くがほとんど真っ直ぐに突き出し曲がりくねらず、形状もただのこん棒に近い。位置はオオイヌノフグリ等と同じで中央のやや上寄りの位置から生えている。
この表情で、面白みが足りないと思うかシンプルでいいと思うかは人それぞれだろう。
葯は極めて薄い桃色っぽい赤紫で、花粉を出した後すぐに乾いてベージュに萎れる。花粉はほぼ白。
花の中央には縦に段々に玉が連なって雪だるまのようになった黄緑の子房があり、白い先が段々太くなる花柱がほぼ真っ直ぐ伸び、先端に毛羽立った丸っこい柱頭がある。柱頭は白い。なお、花柱は先端ほどやや薄赤紫に染まっていることもある。

形と長さの都合で、開花してわりとすぐに自家受粉している。
萼は花冠裂片とちょうどずれた位置で先の尖った長楕円、花冠より少しだけ短い。無毛。

カワヂシャ 軸の腺毛 萼や花柄は無毛だが花序軸には細かい透明の腺毛が生える。
倒披針形で小さい苞が1枚、基部についている。

葉の様子

カワヂシャ 葉 カワヂシャ 葉 カワヂシャ 葉の基部
カワヂシャ 葉 狭三角形で基部がよく張り出して丸く出っ張っているものから、広線形のものまで。先端は尖るものから丸いものまで。全体に細身で、下部から半ば以上までバランス上大きめな葉になり、結構しっかりしているので水平方向に突き出す。先端側はやや上に湾曲する。
十字対生する。中部以上では無柄なので、丸い基部同士が対の葉とぶつかるようになって茎を抱く。
表面はややつやが感じられる程度で、はっきりとしたつやがある感じではない。
鋸歯は不整で荒々しく、先端半分側で特に顕著形も三角形ではっきり立っている。ただし、下部の葉ではあまり目立たない場合も多いのと、幼生期の葉では鋸歯が丸っこいので注意。
(オオカワヂシャは鋸歯が目立たないかもしくは実際にほとんど全縁。)
茎には、終わりの時期でもない限り茶紫味がほぼなく、瑞々しい色合い。環境によるが、青味は強くなく明るい黄緑なのでちょっとおいしそう。

果実期の様子と若い果実・熟した果実・割れた果実の様子

カワヂシャ 伸びた果序 カワヂシャ 若い果実 カワヂシャ 果実期の全景 カワヂシャ 果実
カワヂシャ 果実 カワヂシャ 果実・種子 春も遅くなってくると果実ばかりになり花序(果序)はかなり間延びしてくる。
小花柄は萼付近で強く湾曲せずやや曲がる程度で、ほとんど真っ直ぐに、生えた通り斜上する
蒴果は水滴のような先の尖った卵体をふたつ押し付けたようなわりとぷっくりした形で、表面にはごく小数の腺毛が生えている。熟すとやや透けるようで薄茶色の斑点が見えるようになる(好けた種子)。更に熟すと2つに割れ種子が見える。
なお、種子は0.3mm×0.5mm程度の偏平な楕円の非常に小さなもので、数えた個体では92個あった。異様に種子数が多い
残存花柱は1mmかそれ以下で目立たない。

種子の様子

カワヂシャ 種子 種子は長さ0.4mm程度で、褐色。
偏平な楕円形・楕円状倒卵形・楕円状卵形で、裏面(内面)を親指で押したように少し湾曲し浅い舟形。基部は少し尖る。
高倍率ルーペで見ると、裏面(内面)では基部から2/3程度、筋状にへそがあり、その終端は小さな窪みがある。
全体はあばた状にぶつぶつしている。ほとんど不規則だが、つぶさに見るとやや縦に筋状に並ぶ弱い規則性は一応ある模様。

カワヂシャ 種子 カワヂシャ 種子

6cm程度のカワヂシャ

カワヂシャ 矮小な株 荒れた痩せ地では5cm~10cmの株も結構多い。分枝もほとんどしないかまったくせず、こうなるとまるで別の植物。

幼生株の様子

カワヂシャ 幼生株 カワヂシャ 幼生株 カワヂシャ 幼生株拡大
つやつやした長楕円で、側脈が弱く浮き出ている。左の写真では葉一枚がまだ数mmから1cm。小さい。

虫の訪れ

カワヂシャ 虫(アブ) あまり虫は来ないが、繁茂する群落で長時間撮影しているとたまにアブが来る。狙っていた花の撮影を中断し、大急ぎで向きを合わせてAF。


花確認:
2006(F5)(F6)
2007(F4)(F5)
2008(F4)(F5)(F6)(F7)
2009(F4)
2010(F4)(F5)
2013(F4)(F5)
実確認:
2006(C5)(C6)
2008(C5)(C6)(C7)
2009(C4)
2010(C5)
2013(C4)(C5)

宮城県版のクワガタソウ属
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