まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ゲンノショウコ

ゲンノショウコ トップ
フウロソウ科
フウロソウ属
Geranium thunbergii Siebold ex Lindl. et Paxton

花は1.5cmから1.8mm程度、草丈は10cmから20cm程度。
きれいな花の写真ではアップの構図ばかりなので写真でだけ見たことのある人はそれなりの大きさの花と思われる方もいるが、結構花は小さく、周囲でもそれほど目立つものでもない。(さすがに紅花の方は、色が色で目立つが。)
多くは花が二つセットでつく
茎は赤紫で開出毛が密生、毛深い。
潰れた掌状に5裂した葉の裂片は菱状倒卵形で丸っこく特徴的だが、より尖ったものもあり結構まちまちな形状。

花色の種類としては、
  • |||紅花
  • |||白っぽい薄灰紫や薄桃ではっきり紫条のある花
  • |||はっきりとした薄ピンクの花
  • |||完全な白花
がある。
家のすぐそばではそもそもゲンノショウコがそれほど見られないが、いくつかの草地には紫条がある白っぽい花のみが見られる。同じ千葉県でも、遠方の田舎でよくぶらつくところでは、自然の中に赤花と白っぽい花と両方がおよそ同じように生えている。
なお、宮城県でも紫条のある白っぽい花と濃い紅花との両方が見られる。

薄いもの2タイプと、それと一線を画す白花

ゲンノショウコ 筋の染まる白系花 ゲンノショウコ 薄赤紫花 薄色系では最も見られるのが左の「白っぽい薄灰紫で紫条がある」タイプ。千葉では一応これが多めで紅花はやや少なめか。宮城でもこれが多い。シロバナゲンノショウコ(f. pallidum[薄色の])の名は、どうやらまれにある純白花の方ではなくこちらについているのだろうと思われる。
右は、少なめだが見られると嬉しい、多く見られる紅花と多く見られる薄色との中間的な「薄いもののはっきりしたピンクのもの」でけばけばしくないのがきれい。一番きれいだなと思う。

ゲンノショウコ 純白花 …そして下段は、珍しい「純白の花」の個体(※写真は急ぎ行脚の道中手持ちの道具もなく失敗して白く飛んでいるのだが、花弁の脈も実物でちゃんと純白なのを確認している。かなりまれに見られる。)。
これの存在を知っていたため、これをシロバナゲンノショウコと思っていた。
茎の一部等には色味が少し残るが、花弁には一切色が残っていない。オシベの葯も強い紫ではない。メシベ柱頭もかなり薄い色。葉脈付近も、元々白緑ではあるがこれは更に薄い。ただ、葉色全体はしっかり強い緑で弱々しいこともない。

赤いタイプ

ゲンノショウコ 全景 ゲンノショウコ 花 ゲンノショウコ 花の拡大
ゲンノショウコ 紅の全景 鮮やかできつい紅というか赤紫の花の個体。かなり彩度が高いのに色が濃く派手すぎて…カメラではその印象どおりには写らない。どうも実際よりも明るくというか薄めに写る。(どアンダーにするとほぼ正確に写るのだが、そうすると花以外はほとんど真っ暗。)
林縁等では、かなり目立つ。
個人的には、白い方がより野草的でいい感じ。
白い方で見えなかったのでついでに書くと、葯だけではなく花粉自体も青紫。

花の拡大と萼の様子

ゲンノショウコ 花 ゲンノショウコ 花の後ろ(萼) 花弁先端は波状によれている。基部から2/3あたりまで5本の赤紫の条がある。
柱頭は5裂し、薄めの鈍い赤紫。オシベは10本で、葯は鈍い青紫、着き方が面白い。金槌状というか、ホットドッグを棒に乗せたというか。
萼先端は一旦収束し、棒状に突き出る。萼は長楕円で縁は半透明。花柄とも開出毛が密生。

葉と茎・托葉の様子

ゲンノショウコ 根生葉 ゲンノショウコ 葉 ゲンノショウコ 葉 ゲンノショウコ 葉・托葉
根生葉は基本的に丸っこく潰れた広卵形状。ただしまちまちで、茎葉に近いややとげとげしたものももあれば、掲載よりも丸っこいものもある。3深裂し側片がもう一度少し浅く裂ける。
茎葉も掌状に5裂し、裂片は太って丸っこく倒卵形。裂片は更に浅く裂けやはり丸っこいため小裂片同士は重なる。先ははっきり尖る。葉柄は長い。細い葉の場合T字になる。
切れ込み部分の赤紫の染まりは寒くなると目立つようになる(同じ個体でも。)。個体差はかなり大きい。
葉柄・茎ともわずかに下に傾いた開出毛が密生
托葉は線形で半透明、中央に更に細い線形の不透明の部分があり、縁は白い斜上毛が密生。

若い時期の個体

ゲンノショウコ 幼生株 ゲンノショウコ やや若い時期 幼生期には切れ込み部分に赤紫の濃い斑点が出るものも多い。

果実の様子

ゲンノショウコ 果実 ゲンノショウコ 果実 右は爆ぜて種子を撒き散らした後。

ウマノアシガタとゲンノショウコの幼生期

ゲンノショウコ 幼生期にはウマノアシガタの幼生期と互いに似た形状になり、切れ込み部の染まりも同様(どちらも渋い赤紫になったり白く抜けたりする)なのだが…。
どちらも、中央のような丸っこい葉もある。

ゲンノショウコ:
脈の出方は掌状脈系。基部から放射状に主脈が出て、各脈から一旦出た脈は分岐後シンプルに縁へ向かいそのレベルのメインを保つ。単純な樹形状
ウマノアシガタ:
脈の出方は鳥脚状脈系。各段階で主・副が捉えにくい二又分岐をし、一度出た脈が先で分岐して別の脈の分岐と接しはっきり角張った長細い多角形を形成する。直接縁へ向かわない。縁から入ってくる脈とも接する。



花確認:
2007(F7)(F8)(F9)(F10)
2008(F7)(F8)(F9)(F10)
2009(F8)(F11)
2010(F8)(F11)
2011(F10)
実確認:
2007(C8)(C9)(C10)
2008(C10)
2009(C11)
2010(C11)

宮城県版のフウロソウ属

「シロバナゲンノショウコ」という名前 (-2011年9月11日記載-)

2011年9月10日まで、以下の一行を記述して放置していました。
この個体のように花弁が白っぽくても紫条の入るものはシロバナゲンノショウコではない。
ここ一日で異様にこのページ(というか、「シロバナゲンノショウコ」という言葉の模様?)へのアクセスがあったので、これについての今(この数年)の考えを追記することにします。

※その前に、なんにしても確かなのは、どの姿であれこの名がついているのは「ただの形態」で、もちろん別種ではなく亜種でもなければ変種ですらもないということです。
大抵の場合、品種レベルの名がついているものは変異のうちの、基準となるものと比べてぱっと見て目立った感じの違いがあるだけのものが多く、その性質も極端に固定はしていません。(だからこそ「forma、形態」とされるのだと思うので、「品種」という別の呼び方は実際には好ましくないと思っています。)


さて、本題の方を端的に言えば─
私の以前の考えは誤りで、紫条のある白っぽい(薄い灰紫色の)花の個体のことなのだろうと思っています。ようは皆さまが当然のこととして白花と呼んでいるあれがシロバナゲンノショウコなのだろうと。

多くの場合、品種名としての「シロバナ~」を冠する個体は花被に色素がない白いものを指すため、この植物の場合も「紫条もなく全体も色が被らず純粋に白い花」の個体が実在する(下に掲載)ため他の植物同様にその珍しいものをシロバナゲンノショウコと呼ぶと何となく考えていました。
ですが、シロバナゲンノショウコの学名とゲンノショウコの実情とを考えれば、
  • 濃い赤紫の花のものが広義ゲンノショウコ内の基準品種のf. thunbergiiとされベニバナゲンノショウコとされる
  • 全国的にも「白に近い薄灰紫から薄桃で紫条の残った花」もかなりメジャーではっきり認識されている
  • そもそも学名にはf. pallidum(=「青白い・薄色の、pale」)が正式についている
状態です。学名的には、通常白花を指す際の言葉(「alba」や「albiflora」等。)には元々なっていません。
(学術的には意味を持たない「和名」の方にだけ判りやすさを持ってきた名前という感じでしょうか。)

※なお、実際に純白花個体の方を指す学名・和名であることを示す「実効性のある資料」が見つかれば変わるわけなので、ご存知の方がありましたらどうか資料所在を教えてください。近所の大学図書館でILL使うなりして取り寄せてみます。

【お詫び】
詳細は分かりませんが急なアクセス増加を考えれば多分メジャーな尋ね花系掲示板あたりからのリンクだと思うので、何かの参考として示していただいた方にもご迷惑をおかけしていると思います。至らないうちのサイトを参考に示していただく方の見当もおよそつきますが、どなたであれ、申し訳ありません。
…参考にされるに見合うだけの丈になるよう、努力します。
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