まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

イヌノフグリ

イヌノフグリ 全景
オオバコ科クワガタソウ連
クワガタソウ属
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Veronica polita Fr. var. lilacina (T.Yamaz.) T.Yamaz.

(ちなみに母種である海外のVeronica polita Fr.は青(まれに白)の花をつける模様。花のサイズも一回りだけ大きい。)

花は2.8mmから3.2mm程度と小さい。路上・道脇等ではほぼ全て這っているため高さは1cm程度にしかならず、草地では先の方がひょろひょろ持ち上がって7、8cm程度になる程度。実際の長さは一枝で8cmから10cm程度で、特に基部で大量に分枝し放射状にべったりと円形に拡がっている場合も多い。(一株15cm~20cm程度の円になっている。)

早い時期や日差しのよく当たる道端では全体に黄褐色気味の黄緑がベース(若草色っぽい)で渋めになり多くは縁等が褐色気味の赤紫に染まっている。全草が赤紫褐色になっている場合も多い。

花の赤みのある部分は淡い赤紫とも言えるが、感覚としてはそれよりも桃色といった感じ。拡大撮影すればちゃんときれいになるが、実物や引きの写真ではほとんど白の花にかすれた模様がついている感じにしか見えない場合も多くなる。

撮影メモ

晴天時にしか開かないため、何も対策せずに全体の明るさを優先して撮った場合、花が明るく飛ぶ。
透明プラカード(クリアケース等)や透明の傘を使ってわずかに全体を遮光することで薄雲が通過する時のようにかすかにコントラスト等を少し弱めた上で、カメラでは露出を少しだけアンダー(暗め)に設定して撮影するとうまくいく。
ただし、自分の体やバッグ、本等、透けていない影に入れてしまうと全体に青く写るためおすすめしない。ホワイトバランスで丸ごとシフトしても花色の感じはうまく戻らない(色味が紫系なので。)。

(実際のところ、太陽の方向に花を向けているため普通に撮ろうとすると自分の影に入ってしまうので涙ぐましい努力が必要になる場合も…。)

全景の様子

イヌノフグリ 全景 イヌノフグリ 全景 イヌノフグリ 全景 イヌノフグリ 全景
イヌノフグリ 全景 よく這って放射状に拡がって円になっているものと、明るい林の中の斜面でやや立っているもの。
こうして並べると左は中央や右と全く別のもののようにも見える。

先端の様子

イヌノフグリ 花序 イヌノフグリ 茎先端側 イヌノフグリ 花序 イヌノフグリ 花序

花の拡大・アリによる受粉作業

イヌノフグリ 花 イヌノフグリ 花周辺 イヌノフグリ 花 イヌノフグリ 花拡大
花柄は4mmから5mm程度。
葯は藍色だが、白クリーム色の花粉が出ているものがほとんどで、大抵の花で葯自体は花粉で隠されて見えない。花の時期には萼は2mm程度と短い。
花冠形状はオオイヌノフグリより各裂片の先端中央の角が丸くて全体に短く丸っこく、かつ裂片の重なりが大きい状態の時間が長いので、4片が捉えづらいシンプルなお椀状に見えているものが多い。よく開いてクワガタソウ属的なあの形状になっている、よい花を見られるとかなりラッキーだと思う。
オオイヌノフグリなんかと比べると半開きの状態・時間がずっと多いようなので、自家受粉率も更に高いのだろうと思われる。
萼は4片あるが花冠の色の濃い大きな裂片を上とみなすと上側二つの萼片は小さく下側二つの萼片は大きい

イヌノフグリ 花とアリ わりとおいしいのか、アリは何匹かで、しきりに花を行き来していた。花粉だらけになってうろうろするアリもいた。中央に頭を突っ込んで蜜を吸っているらしいものよりも、この写真のようにがしがしと葯を揺らして花粉を食べまくっているものの方が多かった。(アリと一緒だと花が小さいことがよく分かる。アリは、クロヤマアリ。全国的にもっとも普通に見られる都市部で普通の種。)

花の拡大の追加

イヌノフグリ 花 イヌノフグリ 花 イヌノフグリ 花 蜜が浮いているものを追加。
なお、子房は雪だるまが縦向きになっている。ちゃんと、オシベが邪魔にならない向き。

イヌノフグリ 花とシベの拡大 よく見ていると、オシベはメシベの上位置。オシベは平面的に真横S字になっているだけでなく、上の方から中央よりもやや下の方までわずかに弓なりに下がっている。
その上で、葯は、持ち上げたつま先のように下から上に立っている。結構三次元的に複雑にできているのだと思い知る。

葉と茎・葉柄・葉裏の毛の様子

イヌノフグリ 葉 イヌノフグリ 葉 イヌノフグリ 葉縁 イヌノフグリ 茎と葉柄、葉裏の毛
葉は広卵形、幅が長さの倍以上あるものも普通。長楕円や卵形のような縦が長いものは少なめ。よく育った株の中でも、葉は葉身の長さ5mmから8mm程度の小さなものが多い。強くて卵形の目立つ鋸歯があるが、数は少ない(大抵が2から3対程度)。葉脈は寸詰まって基部から出る3脈ないし5脈のみが目立つ葉が多い。赤味が出ていて多少目立つ例が多い。
葉表はほぼ無毛でやや無骨な質感だがすべすべはした感じだが、葉裏にはバランス的には随分長い(といってもサイズがサイズなので0.5mmと短い)開出毛が、縁裏沿いと主脈上に密生。表側から見ても縁にやや毛がつんつんと覗いて見える。(肉眼では見えてもせいぜい白い粉がまばらについているような感じだが。)
葉は対生し花のつく苞葉は互生するが、株によっては下部の対生部分にも花がつく(=下部の苞葉は対生する場合がある)。
葉柄は実際には結構長いのだが、基部付近でぐねっと無理に曲がって太陽方向に上面を向けるようになっている葉が多く、分枝した茎でやたら繁茂して密集しているので分かりづらい。
イヌノフグリ 茎の毛の拡大 茎には白いくねくねした上向きの強い屈曲軟毛が生える。

果実の様子

イヌノフグリ 果実期の枝 イヌノフグリ 若い果実 イヌノフグリ 少し膨らんだ果実と果柄・萼
花後は花柄がぐねっと重力方向に強めに曲がって茎・葉の下に隠れ、萼を下向ける。(地面に張り付いているので余裕がなくて下を向けないものもあるが。)
若い果実はまず扁平な状態で大きくなり、「3」が二枚合わさって角張っている感じ。段々膨らむ。
イヌノフグリ 膨らんだ果実・真下方向から イヌノフグリ 果実 イヌノフグリ やや若い果実
イヌノフグリ 果実の拡大 イヌノフグリ 果実の拡大 段々と膨らみ、球をふたつ結合したような雪ダルマのようなころんとした形状(花期の子房の形にまた戻る感じ。)になる。
オオイヌノフグリと異なり扁平さはなくなり、いずれ割ける部分もはっきりした稜状にはなっていない。熟す直前くらいには、二玉のサイズも近くなる。
環境にもよるが、表面は一旦赤茶色のまだらに染まっていく。
果実が膨らみ始める頃には、卵形の萼が3mm程度にまで伸び、花柄(果柄)も7mm程度にまで伸びる。
※なお、上を向いている写真は裏返したもの。花柄は実はただ重くて垂れているというわけでもなさそう。かなりしっかりしている(少し硬い)。

イヌノフグリ 果実表面の腺毛 果実表面には極端に白い短毛が密生しているのだが、よく見ると腺毛

裂開した果実と種子の様子

イヌノフグリ 裂け始めた果実 イヌノフグリ 裂開した果実 イヌノフグリ 裂開した果実 雪だるまは縦に二つに裂ける。果皮は耳たぶのような微妙な立体感があって面白い。中の種子数は少なく、薄い橙色。

イヌノフグリ 種子(背) イヌノフグリ 種子(腹) 表面はぼつぼつ丸い突起が多数。厚みのある扁平な倒卵形を裏から指で押したような形。裏の窪みには小さい付属物があり、時間が経って乾き始めたものはややくしゃくしゃっとしている。おそらくエライオソームだとは思われるのだが、周囲のアリは特に種子を持っていかないので、極端に強いものではなさそう。
このエライオソームらしき付属物は、オオイヌノフグリのものより大きくフラサバソウのものより小さい。

イヌノフグリ 種子のエライオソーム(瑞々しいもの) 裂開を始めた頃の果実ではぷりっと膨れた白色のエライオソームが覗いている。

変り種な果実

イヌノフグリ 3分の果実 子房が3分されるもの。整っているし、多分問題ない果実だと思われる。いいものを見られた。

芽出し後間もない幼生株

イヌノフグリ 幼生期 まぁ正直他の種類と区別がつくようなものでもないが。

同一縮尺比較

イヌノフグリ 等 同一縮尺比較 イヌノフグリ・フラサバソウ・コゴメイヌノフグリ・タチイヌノフグリ・オオイヌノフグリ 左からイヌノフグリ・フラサバソウ・コゴメイヌノフグリ・タチイヌノフグリ・オオイヌノフグリ。
写真でも、改めてオオイヌノフグリは大きい、と感じられると思うが、実際、イヌノフグリを見た直後に見たオオイヌノフグリは異様に大きな花に感じられた。※ただし、オオイヌノフグリはサイズの変化幅がかなり大きい。(同群落、どころか、同株内でも大きく異なることが多い。)
タチイヌノフグリは脱落しかけまでややすぼまったり半開きでなかなか全開していないのでわからないが、実は4mmちょっとある。また、伸びきっていない中で咲くため特に上の裂片は大抵の場合、上の段の苞葉等に抑えられて開けていない場合も多い。
ちなみに、花部分の色味を同レベルに補正してそれぞれの違いを比較できるようにしてある。(元々の撮影条件が異なるのを花色だけを優先し無理に戻したので葉色等はやや破綻しているので、花以外は気にしないこと。)


花確認:
2008(F3)
2010(F3)(F4)
2011(F5)
2013(F4)
実確認:
2008(C3)
2010(C3)(C4)
2013(C4)

宮城県版のクワガタソウ属
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