まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

シラホシムグラ

シラホシムグラ 全景
アカネ科 ヤエムグラ属
123456789101112

Galium aparine L.

花は1.8mmから2.5mm程度、高さ自体は30cmから40cm程度だが、下部がよく這って草原で他の草に引っかかって伸びていて長さは1m以上あるものが普通に見られる。頻繁に分枝し、よく見られるヤエムグラに似ているが、全草のサイズ・花色と花サイズ・果実サイズ、節の上に見られる目立つ毛等各所がヤエムグラと異なる。
ヤエムグラ同様、茎は手で持ってやや曲げようとすると(一点に集中した力がかかると)かしゅかしゅぱきぱき異様に簡単に折れてしまう。全体に力が加わる場合はよくしなる感じだが。・・・。
最盛期の色合いはヤエムグラの明るい黄緑より黄色味が少し少ない(より緑と紫が強い)。

全国各所でヤエムグラと誤認され紛れている可能性が高いと思われる。ついでだが、2009年には、宮城県でも確認。(その場所の環境の都合で間違いなく生えているとは思っていたがいちいち見に行ってなかったので。…。)

花は真っ白ではないし色の程度は個体差が大きい上、茎や節の毛は成長に従って取れ落ちたりするので、誤認注意…。

全景の様子

シラホシムグラ 全景 シラホシムグラ  大繁茂の様子
全体的にヤエムグラを相似的に一回り大きくした感じ。雑然と蔓延る感じもヤエムグラそっくりなのだが、より長く育つ。
右の写真は大群落の様子。立っている草の間をひたすら埋めるように育っていてちょっと鬱陶しい。
この群落周辺エリアには、同時期にはヤエムグラはあまり見られない。ヤエムグラの方が花が早く、シラホシムグラはのんびり育って、そのうち草薮の上に乗っかって悠々と育っている。

花の拡大

シラホシムグラ 花 シラホシムグラ 花 花冠はおよそ白っぽいが、個体毎・花毎に細かく見れば多少黄緑味があるものも多い
かなり白味が強いため、花の中央部の緑が目立つことが多い。花径はヤエムグラ(花径1mmから1.2mm)の倍近く
花冠裂片は同様に4裂するのだが、ヤエムグラと裂片形状がやや異なる。ヤエムグラでは裂片の形状が長楕円で等幅部分がある(家型というか長細い五角形気味)感じなのだが、こちらは等幅部分がなくきれいな卵形。葯は花粉で鮮やかな黄色になっている。
小さいといえば小さいがヤエムグラより大きい分、花の拡大撮影は少し楽。ただし花色が白っぽいので晴天では白飛びしやすい。

葉の様子

シラホシムグラ 葉と茎 シラホシムグラ 葉と茎 シラホシムグラ 葉拡大 葉は6から9枚輪生(上部では3、4輪生も)し、下部の大きな葉で長さ3.5cmから4.5cm程度。全体に大型の葉。私が見ている場所での傾向に過ぎないことだが、奇数の7枚か9枚が大部分を占める株が多い。特に7枚が多い
形状はヤエムグラと同じようで倒披針形を細くした形状?線形で、凸 頭。先端は赤紫にぽちっと染まっているものが多い。断面は、紙を、折り目をつけずにM字に曲げた時のような形状。
半ばより先の部分が強く屈曲した白(透明)の太めの剛毛が全体的にほぼ立って生えているためよく引っかかるが、極端に硬い毛ではなく棘のように刺さることはまずない。ヤエムグラより長く太く、わりと目立つ。

シラホシムグラ 若い株のよく染まった下部 若い株ではヤエムグラ同様よく染まる。

茎の様子

シラホシムグラ  茎の節 そこらじゅうがわりとヤエムグラに似ているが、節の上部2mmから3mm程度(ヤエムグラ同様、ここはやや膨れる)まで、透明白色の長い開出気味の軟毛が稜に生える

シラホシムグラとヤエムグラの茎比較 シラホシムグラ まだ若い上部 シラホシムグラ まだ若い上部 シラホシムグラ 茎拡大
中段左は混生するヤエムグラと並べて撮ったもので、その右二枚はそれらの拡大写真。左がシラホシムグラで右がヤエムグラ。下段は茎の拡大。
稜にある下向きにやや湾曲した棘毛の列はヤエムグラのものより少し硬くよく引っかかり、扱いが大変。量も少し違いがあり、ヤエムグラのものの密度の丁度半分程度で、込み合わず少ない分、ブラシっぽく見えることはなくより「棘らしく」見える。長さにしても、わずかだがヤエムグラの毛より長い。とはいえ、どちらの種もちゃんと育って節間が広くなれば散在状態になるので感覚としてはほとんど同じように見えるようになる
円柱形に膨らみ気味の4柱の稜と少し窪み気味の面とで角柱状になっているのだが、色合いの違いが極端。面部分はあまり染まらず緑のままで葉とほぼ同色で、稜だけが妙に強く渋い紫褐色に染まっていてはっきり違いが目立つ。ヤエムグラでは面と稜の色の差異がほとんどなく、茎が全体的に(節間内では、上側の染まりの方が少し強い)くすんだ緑黄褐色のものの方が多いが、シラホシムグラと同様の染まり方をするものも見られるので区別点にはならない。

時期による茎の節間の伸長と毛の印象の変化及び実際の変化について

上のセクションで書いたことから分かるとおり、詰まった部分では棘毛が目立つ。

【●茎頂がまだ縮こまって卒塔婆のようになっていて花がかたまっている若い花期】
シラホシムグラ 最盛期の上部(花序)(茎棘毛) シラホシムグラ 最盛期の上部(花序)(茎棘毛) 茎の棘毛は密集しやや光り「毛」らしい。フラッシュ撮影をしない限りは極端に目立つことはさすがにないが、それでも一目でそれが目には入る。
右の画像は詰まった部分と少し伸長し始めた部分との茎の棘毛の印象の違いを感じ取りやすく間に縦帯を入れてみた。


【●伸長し全体的に既に残り花程度の果実期】
シラホシムグラ 後期中下部茎棘毛節毛 シラホシムグラ 後期中上部茎棘毛節毛 シラホシムグラ 後期上部茎棘毛節毛 上部も節間が伸びて茎があらわになるのだが、この部分から中上部程度までは茎の棘毛がかなりまばらで節の毛の方も少ないかもしくはなくなっている。下段の左から、中下部・中上部・上部。


というわけで、節の毛をチェックする際には、必ず茎が太い中部から下部の方を見る必要がある。なお、個体差もわりとあるのでその点にも注意しておくことをお勧めする。

果実と種子の様子

シラホシムグラ 果実期全景 シラホシムグラ 全景 ちょこちょこ赤く染まり全体に黄色味も入り、特に果実は赤紫が目立つので、気にしていれば草むらでそこそこ目立っていて再訪時に見つけるのは楽。

シラホシムグラ 果実期 シラホシムグラ 果実 シラホシムグラ  熟した果実 シラホシムグラ 果実
果実形状も果実表面の長めの白透明な鉤毛の質も密度も、ヤエムグラと同等。果実サイズはひとつの分果が3mmから6mm(きれいな球ではないので長径で)程度で特に5mm程度が多いようなので、ヤエムグラの最も普通のサイズのものより大きい熟していくと渋い赤紫に染まるものが多い。(染まるのはヤエムグラでも環境により普通だが、より顕著な感じ。)
シラホシムグラ 果実 密生する透明の鉤状の棘は、基部が丸く膨れてこぶ状。

果実と種子の様子

シラホシムグラ 種子の様子 シラホシムグラ  熟した種子 シラホシムグラ  熟した種子 種子は薄い果皮をつるんと剥がすと出てくる。若い種子はつやつや。熟して乾いている種子を拡大してみると、微細な網目模様が見える。濃い目の渋褐色で、ほとんどつやはない。

簡易の縮尺確認画像追加

シラホシムグラ   花サイズ シラホシムグラ   果実サイズ 花は対角線で2.5mmはあることが分かる。果実は縦方向に長く4.5mmある。

同定等経過に関して

→【2008/05/14】
海外でGalium aparine L.として紹介されているものと極めて似ているというか…少なくとも見つけたいくつかのサイトで『写真に写っているもの自体』は私のこの記事の草本と同一だろうと判断。
が、それらのサイトでその植物を「Galium aparine L.」としているのが実際正しいかどうかは情報が少ないためよく分からず、では、と思いGalium aparine L.を本格的に調べ始めたら国内のものがヒットして学名・和名周辺の問題ではまった。
また、わりとヤエムグラと似ているのでその変種等の可能性を疑って色々そちら方面も調査。

→【2008/05/19】
千葉県立中央博物館の外来研究員のとあるお方に相談しつつ(こう頻繁にご迷惑かけても、と思ったので、単に報告だけしたつもりだったのだが、結局妙なことに巻き込んでしまった。…。)、「さぁ」と必死で拙い英語力とまったくないその他欧語力を駆使(?)しネットで海外の情報を調べまくっていたところ、やっとこの植物がGalium aparine L.でよいと自分なりに得心できた。
ヤエムグラの変種とかではなく種レベルで異なるもの。その後に和名を探したところ、普通のサイトにはこの時点では情報が見つからなかったが、とある閉鎖型コミュニティ(登録制のML)でシラホシムグラとしてあるのを見つけた。
ちなみに、海外サイトで茎の毛の具合がだいぶ異なるタイプが写真で見つかるので、Galium aparine内にまともな変種が何かしら定義されていないか気になって調べたが、見つかる「var.」はほとんどGalium aparineのシノニムになっていた。とりあえず、まともに分かれていない模様。変異の連続性が高いものと思われる。
(※なお、和名判明後に見つかった名前で検索したら一箇所だけ、名前の記載だけはあった。学名は記載されていなかった。)

※ヤエムグラの学名が「Galium aparine L.」とされるサイトがわりとあり、またヤエムグラを扱った論文で学名がこれになっているものがわりと見つかるのは、牧野図鑑でそう書かれているからという可能性が高い。
ヤエムグラはGalium aparine L.とは別物で、「Galium spurium L. var. echinospermon (Wallr.) Hayek」(トゲナシヤエムグラの変種)とされている。

→【2008/05/24】
某河川の高水敷で大繁茂しているのを確認。なお、この周囲ではヤエムグラの方はほとんど見られなかった。

→【2008/11/17】
※「千葉県植物誌資料 24」の発行完了というか到着を受け、この記事を「一般公開」に切り替え。 ちなみにその同人誌にあるが千葉県では20年も前の標本がある模様。ヤエムグラとして収蔵されていたらしい。ずっと以前から全国的に大量に紛れていると考えられる。

→【2009/07/21】
宮城県でも確認した。宮城県版のシラホシムグラを参照。形態は千葉のものと同一の模様。


花確認:
2006(F5)
2007(F5)
2008(F5)
2009(F6)
2011(F5)
実確認:
2008(C5)
2009(C6)
2011(C5)

宮城県版のヤエムグラ属
スポンサーサイト






上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。