まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

シロバナタンポポ

シロバナタンポポ トップ
キク科
タンポポ属
Taraxacum albidum Dahlst.

花は頭花の径で3cmから4cm程度で、わりと大きい(3.5cmから4cm程度)ものが多い。
冬から早春にかけてと、秋とに咲く。盛り(桜の頃)では一株から上がる花茎の本数は5本程度になっているのが普通。
単為生殖(種子の生成に花粉が必要ない)を行う種とされる。
この図鑑での通常エリアでは点在気味の大きな分布地が一箇所あるのみだが、その中での株数は多い。
遠方の里山方面では田んぼの畦に多数生えているが、そちらは田んぼの持ち主のおばさまがそばからひとつ貰ってきて植えたのがいつの間にか殖えたとのことで、植栽。(元の場所にまだあるのかは不明。)
(そっちまで行けばカントウタンポポ等も見られる。)

花色については、日本植物誌にもあるが白だけではなく薄い黄色のものもあると認識されている。なお、残念ながらうちのそばのたったひとつの群落では、奥の方だけ黄色いもの、つまり普通のだけ。
県内にはシロバナタンポポはそれなりにあるようなので、それだけを探して回れば多分すぐ見つかるだろうが…さすがにその気にはなれない。

近所では道路脇の歩道との境の植え枡に生えている。頭花が大きめでよく育った株では葉もきっちり立ってかつ巨大、草丈も花期の花茎で20cmから30cm程度とかなり長いものが多いが、しっかりしている。果実期には50cm近くになるものもたまに見られる(50cmと聞くと花の時期しか見ていない人には通常ありえない数字だろうからぱっと見た瞬間さすがにタンポポの仲間とは思いづらいだろうと思う。)。

起源の説(アイソザイム検査による)

●カントウタンポポのようなモンゴリカ節の二倍体タンポポとモンゴリカ節の別の三倍体タンポポとの交雑起源ではないかと言われている模様。(「Uniclonal Population Structure in the Pentaploid Obligate Agamosperm Taraxacum albidum Dahlst.」 1989にて。)
●別のより新しい説で「シロバナタンポポの起源の研究 1.4倍体種のアイソザイム解析」(1999)では、ケイリンシロタンポポ(ツクシシロタンポポ)(:4倍体で九州方面で見つかった白い巨大花の種類らしい。韓国でも見られる白いタンポポ。)とカンサイタンポポ(二倍体)との雑種起源とされている。

ケイリンシロタンポポ(ツクシシロタンポポ)についてはまともと言ってよいレベルの情報はない。
シロバナタンポポより大きな花をつけ総苞外片がより長く大きく総苞の2/3や3/4あるという基準が確かにあるものの─。
実物でそれに従って分けようとすると、千葉県のこの一箇所にあるシロバナタンポポでも個体毎に総苞外片の長さはそれぞれ異なり、基準に照らしてそちらになってしまうような長いものもあればずっと短いものある。
4倍体と5倍体の違いがあるようだから研究者が設備を駆使して調べれば個体毎に判るだろうが、外見については、これだけまちまちな以上外片の長さなんかで論文の言うように区別できるものではないかもしれない。

全景の様子

シロバナタンポポ 全景 シロバナタンポポ 全景 シロバナタンポポ 全景 右は遅い時期なので綿毛を飛ばした後の非常に長い花径が二本見切れて写っている。

シロバナタンポポ 全景 シロバナタンポポ 全景 花と比例して葉や丈も大きく、一般的な(普通の)カットとして斜めに撮るとそれほど大きな印象はなくなってしまう(左)が、真横(右)から撮ると周囲との比較ができるのでやはり大きいと分かる。

花の拡大、蕾と総苞の様子・ずい柱と花粉

シロバナタンポポ 頭花 シロバナタンポポ 花の拡大 シロバナタンポポ 花 シロバナタンポポ 蕾
よく見かけるセイヨウタンポポやアカミタンポポと比べ全体が大柄なため写真になるとバランス上小さく見えがちだが、頭花はわりと大きい。
メシベの柱頭・花柱は黄色い花粉がついていて判りにくいが黒ないし黒っぽい
小花数はそれほど多くない印象。小花の舌状花冠は奥の方が基本的に黄色い。また、裏側に灰赤紫の帯ができている。
花茎には全体的に目立ったクモ毛がまとわりつく。
総苞内片の角も顕著なので蕾時期には放射状に角(つの)が立っていて面白い。
シロバナタンポポ 頭花総苞 シロバナタンポポ 頭花総苞 シロバナタンポポ 総苞 シロバナタンポポ 花総苞横
総苞は外片がやや開き内片・外片とも先端に目立った角状の突起がある。特に外片の突起は著しく、テトラパックに近い角々しい大きなものとなる。高さ3mm程度はある。なお、大抵少し赤紫になっている。
外片の先は内片にぴっちり伏すことはなく、立っていたり反り返っていたりまちまちになる。基本的には中途半端に開いている。
舌状花の裏側は2/3程度の幅が灰赤紫になるのが普通。

シロバナタンポポ アカミタンポポ 総苞外片比較 形状比較図にある細線はしわや筋ではなく立体を捉えやすくするために入れたもの。


※画像が多く重くなったので…花粉関連はここ↓をクリック
【●HERE!】

葉の様子

シロバナタンポポ 葉 シロバナタンポポ 葉の拡大 シロバナタンポポ 葉 葉にはつやが少なくマットなため何となくしわしわ加減が際立つ。「見かけ上の質感」は革質。実際の感触は薄く柔らかい。
形態は多様だが2/3程度切れ込む、先端も大きさの変わらない形状のものが多い。右はやたら切れ込んだ個体の例。
また、セイヨウタンポポやアカミタンポポと比べずっと大きな葉になるものが多い。生育環境の差もあるのだが、混生している場合でもかなり大きい。
なんだか野菜っぽくておいしそう、といつも感じる。

花後から果実期(綿毛の冠毛つき痩果)

シロバナタンポポ 花後くねくねと曲がった花茎 シロバナタンポポ 花後 花茎は花後に非常に長く伸びる
いつもぴんと立っているわけではなく、花後には一旦くねくねとなってのたうっている感じのものが多い
総苞内片は花期に小花に押し広げられていたが花後は先端以外ほぼぴっりち閉じていて下膨れで面白い。(蕾は円筒形というか樽型なので形は異なる。主に、子房が膨らんだことと花冠がなくなって上が空いたせいなのだろう。)
花後閉じてから綿毛のぽんぽんができるまでにかなりの長期を要する。それまでに先がちぎれてしまいなくなったりする。

シロバナタンポポ 果実期 シロバナタンポポ よく伸びた花茎 結実率はかなりよい模様。(子孫もクローンで構わないという判断であれば単為生殖は非常に効率的と言える。)
が、発芽率はそれほどよくないかもしれない。(発芽後定着の能力の方はそれなりに高そうだが。)
痩果は2mm×5mm程度。

痩果の様子


シロバナタンポポ 痩果 シロバナタンポポ 痩果の拡大
シロバナタンポポ 痩果の拡大 周辺に見られるセイヨウタンポポやアカミタンポポと比べ圧倒的に大きく、嘴部分(上部の軸に変形していく細い円錐部分)を除いて、4.5mmから5mm程度ある。
色は彩度の低い黄褐色に近い灰褐色?灰緑褐色
外側が膨らむため断面が扇型になる三稜形。はっきりした溝があり、その間は中央と左右縁に竜骨がありその先端が飛び出るため浅い三又になる鱗が、段々に重なっている。竜骨の間も浅い溝に見える。
鱗の先端は棘状突起ではっきり鋭い。棘は上部に行くほど顕著になる。この棘はわりとはっきりと目立つのだが、痩果の小さいセイヨウタンポポやアカミタンポポと同じ長さなのでバランス的に少し小さいことになる。
鱗の縁は棘状突起も含めて微毛が生えているが極端に小さいため超高倍率で撮影しない限り存在すら分からない。

タンポポ類 痩果比較 タンポポ類 痩果比較
左からシロバナタンポポ・セイヨウタンポポ(ただしおそらく雑種)・アカミタンポポ(雑種の可能性はある)・アカミタンポポ系雑種。
シロバナタンポポの棘が他と同程度の大きさと分かる。また、棘が太めなので針っぽくはならない。
※右のものは全体がかなりおかしな形態になっている個体に多く見られ、棘が少なく少し低く、下部のすべすべが目立つ。色も薄い橙系(紅色ではなく黄色味が混じる)。
※先に書いておくが、二番目と四番目の色の違いは熟し具合の差ではない。二番目はまだ熟していない頃から早々にこの色になり、四番目のものは熟してもこの明るい薄い色のまま。

痩果の拡大

シロバナタンポポ 痩果 シロバナタンポポ 痩果 シロバナタンポポ 痩果
結構大きい。
縦に畝状になり畝の上では(上側で特に顕著に、)少し丸っこい、エッジの効かない平たい卵形鱗状の突起か低くややなだらかないぼ状の突起になる。それほど鋭い棘状にはならない
やや明るめで彩度のかなり低い灰赤褐色の痩果で、セイヨウタンポポやアカミタンポポと比べかなり地味で渋い印象。

蕾からの様子

シロバナタンポポ 蕾 シロバナタンポポ 蕾 シロバナタンポポ 全景 花茎の見えない蕾だけぽこっとある状態から。順に2009/02/28・2009/03/02・2009/03/10。やたら暖かかったりいい感じの雨が降ったりで急激な展開。他のタンポポ類も同様で、20個体以上をマークして観察する身にはかなり厳しい。…。

シロバナタンポポ 蕾時期の全景 ついでに、02/28の同じものの全景。
シロバナタンポポは葉の表面の質と色、蕾の形状と総苞内片・総苞外片の角状突起からぱっと見て気づくので楽。(基本的に葉が大きいし。)


花確認:
2006(F4)
2007(F3)(F4)
2008(F3)(F4)
2009(F2)(F3)(F4)
2010(F1)(F11)
2011(F1)(F2)(F3)
2012(F3)
2013(F3)
実確認:
2006(C5)
2007(C3)(C4)
2009(C2)(C3)(C4)

宮城県版のタンポポ属
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