まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ヌマガヤツリ

ヌマガヤツリ トップ
カヤツリグサ科 カヤツリグサ属
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Cyperus glomeratus L.

草丈は1mから1.5m程度ある、大型のカヤツリグサ。やや湿性の場所に生える。
披針形の小穂(鱗片が段々に並んだやや平たい塊)が多少膨れ、これが集まった小花序が円柱状となる。この小花序は3.5cmから4cm程度あり大きく渋めだが最初は明るい黄緑なので草むらでそれなりに目立つ。
いずれもっと斜上して開き気味になり倍以上の太さの円筒になり濃い目の赤褐色の花序になり、更に目立つようになる。

データ上は千葉県では少ないとされているらしい。湿地部にある上に他の大型の植物に紛れているため、見つけられていないだけの個体も多いと思われる。ただ、ガマやアシ、オギ等丈の高い植物の密生する湿地藪は衛生上の問題や見栄えの問題もあるのだろう、周辺の住宅地内からはほとんど姿を消してしまった。
写真の個体はそばの二箇所からのものだが、どちらもその周囲で道路拡張工事等が行われているため再開通すれば車通りが優先されすべて整備されて、数年で失われると思われる。(実際周囲はそういうところばかりになった。)
アシが密生する中の部分にはあまり見られず、縁の方等明るい場所に生えている。

同定の経過について

当初は若い花序の状態の株のみで、しかもその後すぐ刈り取られてしまい痩果の観察もできなかったので、仮同定の状態で別の大型カヤツリグサとして判断して掲載していた。
その際、岡山県のとある大学生の方に別の種類の可能性を指摘していただいたため、各種の大型カヤツリグサの資料を探しつつひたすら周辺の個体を探し続けていたのだが、ようやくわりとそばでまた見つけられ、その後ちゃんと秋時期の茶色く稔った太った状態まで見ることができ、最終的に痩果も鱗片も確認、ヌマガヤツリとの同定に至った。

全景の様子

ヌマガヤツリ 全景 ヌマガヤツリ 全景 ヌマガヤツリ 全景 ヌマガヤツリ 全景
ヌマガヤツリ 全景 三枚目くらいまでは細い円柱の花序。三枚目はだいぶ褐色に染まり始めている。段々小穂が斜めに倒れて開いていくため太くなり、5枚目のようにずんぐりした感じになる。太くなっても一応円柱は保ち団子のようにはなっていない
大型なので目立つが、ピントの深いコンパクトカメラでは草むらに埋もれて背景にフォーカスしてしまったりさっぱり見えなくなったりと辛いものがある。テレマクロをしようにも全体が大きすぎてあまりズームできない。(かといってズームしたまま全体が入るくらいまで離れてしまったら結局背景に埋もれる。)

花序(穂の集まりと穂、小穂)の様子

ヌマガヤツリ 若い穂 ヌマガヤツリ 穂 ヌマガヤツリ 穂拡大 ヌマガヤツリ 穂拡大上から
小穂自体は厚みのある披針形から狭卵形で、各花の苞である鱗片が他の仲間同様に平面方向に左右段々に並んで斜上して扁平になっているのだが、小穂が密集した穂の花序を作るのではっきりブラシ状の円柱状になっている。
ほぼ散形(やや総状)にこの小花序と次の段の花序とを混ぜてつけ、穂の数も結構多め。三段程度になる。次の段の花序の出る軸は結構伸びるので花序同士がかたまった印象は少ない。
格段の花序で数枚の苞葉だけが大きく、他は糸状の線形でかなり細いが、しっかりはしているし、よく見れば断面はあくまでW字になっているのが芸が細かい。(三段目の花序の苞葉はせいぜい2cmで、目立たない。)
花序内のひとかたまりの穂群は、中央の一本が真っ直ぐ突き出て最も長く、下部で放射方向に3から4本程度が斜上して出て、全部で4、5本が多い模様。
小穂内の各小花の先端に白い小さな柱頭が見える。
ヌマガヤツリ 花序 ヌマガヤツリ 花序 ヌマガヤツリ 花序 ヌマガヤツリ 花序の拡大
段々色が若草色と橙褐色・赤褐色に染まっていき、開いて太っていく。ペンキ缶くらいのバランスに太くはなるが円柱は保っている。
鱗片の先端から3本になった柱頭がちょこっと突き出しているのがルーペでは見えるが、肉眼では微細な糸くず程度の何かが出ているかも、くらいにしか見えない。
ひとつひとつひたすら見ていると時折柱頭が2本や4本に分かれているものも見られる。
よく膨らんだものは既に果実期になっていて、そっと触ると鱗片ごと痩果が手のひらに落ちる。

葉と茎の様子

ヌマガヤツリ 葉 ヌマガヤツリ 茎 最下の苞葉はしっかりした濃い目の緑でつやがあり、幅1cmから1.5cm程度、長さもかなりあり70cm程度ないしそれ以上になる。裏ははっきり白っぽく、濁った白い点状模様がある
断面ははっきりしたW字で、縁には棘状の突起が散生。
苞葉基部は丸く少し肥厚した感じ。茎は苞葉の下で乳白色になっている。茎の断面ははっきりした三角形で、詳しく見ると各辺に浅い丸い窪みがある。太さ1cm程度。

痩果と鱗片の様子

ヌマガヤツリ 痩果と鱗片のセット ぱらぱらと手に落ちた鱗片と痩果。ゆすれば離れるが基本的にセットのまま落ちてくる。
痩果は灰色か褐色になっているが、基本的には灰色になっている模様。
鱗片は長さ2mm程度痩果は長さ1.2mm線状長楕円の三稜形。縁と背側に稜があり腹側は平ら。

ヌマガヤツリ 痩果と鱗片のセット ヌマガヤツリ 痩果と鱗片のセット
鱗片の舟に乗った痩果。この状態だと長さのバランスがよく分かる。長いメシベの分岐した柱頭だけが鱗片から飛び出る長さで、基部から3本出た長いオシベは鱗片の中に留まっている。
ヌマガヤツリ 鱗片 ヌマガヤツリ 痩果(腹側)
鱗片は狭三角形で基部は切形、中央は折れてはっきりした稜になる。
先端付近等に切れ込みはなく全縁
痩果には微細な網目状のピットになった模様があり目はやや縦長。また縦に並ぶため筋があるように見える。網目は縁ほど大きくなる。
ヌマガヤツリ 痩果(背側) 背側から見るとこのような感じ。稜があり、稜の位置にオシベが被さる。


花確認:
2009(F8)(F9)
2011(F10)
実確認:
2011(C10)

宮城県版のカヤツリグサ属
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