まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

イヌホオズキ

イヌホオズキ トップ
ナス科 ナス属
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Solanum nigrum L.

花は平開時の花径1.3cmから1.6cm程度でかなり大きい。草丈は40cmから70cm程度、直立するものから重みで這い気味のものまであるが茎質はしっかりしている。よく枝を分ける。この植物は他のイヌホオズキ類と比べると各部が大きめなのだが、それより更にやたら大型になる個体群も見られる。その場合、葉も下部では20cm程度になる。
他種とは質感がだいぶ異なるので(ある未明の種以外を除けば)一目でこれと分かる。
葉脈、茎、花柄等の紫の染まりは濃く渋く重い感じで、更に茎が太いのでかなり無骨に見える。
花数(果実数)は多く、6、7が普通で10を超える場合もある。花後には小花柄が左右に分かれつつ垂れ、花柄の先端は軸が発達して伸び、花期には集中して見えた基部も本来のはっきりした総状に見えるようになる。カンザシイヌホオズキや、オオイヌホオズキのそういうタイプと同様。
花がぱっと見て大きい上に真っ白なので、草地でも目立つ。イヌホオズキの仲間は節間毎にひとつ花序を出すので、数えれば随分賑やかではある。

全草の様子

イヌホオズキ 全景 イヌホオズキ 全景 イヌホオズキ 全景 一枚目はかなりの巨大葉の株。この異様に濃い緑と紫の葉が眼に飛び込んでくる。受け取り方によるだろうが、園芸種やおしゃれな野菜のようでもある。
二枚目・三枚目は普通の大きさのものだが、それでも他種とは各パーツがひとまわり、ふたまわり大きくなっている。

イヌホオズキ 全景 イヌホオズキ類不明種 全景 下段左は小ぶりのパーツのもの。各部の特徴はイヌホオズキに一致し、若い果実の斑点も球状顆粒も見られないためイヌホオズキと判断。この状態のものは、下部のコラムにあるもうひとつとよく似ているため、つぶさに見る必要がある。
下段右は、下部のコラムで挙げるもうひとつのもので、ぱっと見自体はどう見てもイヌホオズキだが果実形状や斑点があること等、各所が異なる。(サイズの都合で写っていないが斑点がしっかりある。)
この個体の場合は荒れ地なのでやや普段と色合いが異なるが、周囲のオオイヌホオズキやテリミノイヌホオズキがくすんだ黄色っぽい葉をつけているのに対しまだまだ緑色を維持していて、イヌホオズキと同様。

花序の様子と花の拡大

イヌホオズキ 花序周辺 イヌホオズキ 花序 花期も初期にはムカデのような総状の花序は目立たず他種同様ほとんど一点から出ているようにしか見えないが、次々に開花結実をするのですぐ右のようになる。

イヌホオズキ 花 イヌホオズキ 花 イヌホオズキ 花
イヌホオズキ 花序 イヌホオズキ 花 イヌホオズキ 花
花冠裂片は基部がだぶついているのは特徴だがシルエットそのものはわりと長細いものもある上、たまたま平開時を見つければ細身に見える。基本的にはそれだけをあてにしてはいけない。
イヌホオズキ 花 イヌホオズキ 花 イヌホオズキ 花
花全体が大きいので当然ではあるが、オシベの葯は長く太く、長さ2mm以上で大抵2.3mm程度ある。

葉と茎の様子

イヌホオズキ 葉 イヌホオズキ 葉 イヌホオズキ 葉 イヌホオズキ 葉序
イヌホオズキ 葉 染まりはまちまちだが一応他の種よりは強め。葉脈が側脈まで強い紫になるものも結構見られる。
全縁のものが多めなのは確かだが、浅い歯牙とも鋸歯とも波状縁とも取れない微妙な切れ込みが見られるものが実際にはよく見られるので、単純にあてにはできない。
元々かなり大きいが、下部の方の大きい葉では20cmになる場合も。色と質感からは他の種よりやや厚手に見えるが、触るとそうでもない。表面には白い短い直毛がぷつぷつ散生はしているが、若い時期だけ目立ち段々取れ落ちる。

イヌホオズキ 葉 イヌホオズキ 葉 ※こちらはやや小さい葉のもの。
路面間から出ているもの等、都市部ではどうしても小さくなる場合が多い。

イヌホオズキ 茎 イヌホオズキ 茎 太い茎には稜が目立ち無骨。部位や環境によるが紫の染まりが強めで、他の種類と一緒に生えていると差が顕著。稜の上には茎の各所にほんの少しだけ生える軟毛とは別に棘状突起が出ていて、節の少し下辺りにややまばらに広がってつく傾向がある。

果実の様子

イヌホオズキ 若い果実 イヌホオズキ 若い果実 イヌホオズキ 若い果実 イヌホオズキ 若い果実
イヌホオズキ 若い果実 イヌホオズキ 若い果実 花後には花柄の先端で小花柄基部間が発達して互い違いに左右に向かうように明瞭な総状になり、正面から見るとこのぼこぼこ部分が前下に湾曲するのでよく見える。ちょっと気持ち悪い。果実は縦にかすかに短いようで、球形ではなく水平に切って赤道断面を上から見るとやや陸上トラックのような形状に近づいている(テリミノイヌホオズキではこれがより顕著。)。

イヌホオズキ 果実 イヌホオズキ 果実
若い果実は鈍く濁った感じのつやのない緑で彩度がやや低く、他の種で見られる筋模様もそれを避けるように配置されるふけ状斑点もないため他の種類と比べるとかなりのっぺりというか、ぬめっとすべすべ。
萼はよく発達しふわっとした状態に全体的に強く反り、熟した後は萼と果実の接点が緩んで果実だけ取れる傾向が強いが、絶対的にどうであるというものではなく傾向に過ぎない。(他の種のものも傾向。)
萼が立体的に反るにも関わらずテリミノイヌホオズキのようなぷりっとした感覚がないのは、大きくて質が分かりやすいことと隙間も大きく裏側がすぐに見えるためか。
イヌホオズキ 果実 果肉はすぐ熟すが、外まで熟せばこの姿。黒紫で渋い感じ。
イヌホオズキの仲間は日本では全草に毒があるため食用には向かないとされるが、国によっては、青実が有毒で熟せばフルーツとする国もある上、葉は炒め物に使う国もあり、人間も色々と適応しているのだなと思わされる。…日本人は無理だと思うので、一切食べないことをお奨めする。

イヌホオズキ 種子 イヌホオズキ 種子 イヌホオズキ 種子
種子は他の種と異なりかなり大きく、でっぷりした卵形で2mmから2.2mmあり厚みもかなりあり、随分雰囲気が異なる。
果実が、赤道断面で見て長径が9mm程度、短径で8mm程度なので、種子とのバランス上、種子数は少なくなり、20から30ちょっとにしかならない。
球状顆粒は見られない。

ふたつの「イヌホオズキ」

現在把握されているイヌホオズキ類は、(大型の木本を除くと、)イヌホオズキ、オオイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ群、カンザシイヌホオズキ、ケイヌホオズキ、ヒメケイヌホオズキがあるのだが─
千葉や東京の都市部や郊外にてイヌホオズキの仲間を見て回っていれば気づくが、花が大きめで果序がムカデのように総状で垂れる球状顆粒を持たないイヌホオズキ類は、実際にはもうひとつ見られる。
これには明瞭なふけ状斑点があり、こちらの記事のような本来のイヌホオズキとされるものとは果実形状や萼形態もやや異なる場合が多い。また、他種と同程度に小型な葉を持つ。葉質や葉色は、茎色や花冠形状がイヌホオズキと似ているため、雰囲気だけで判断している人にはイヌホオズキとしてスルーされている可能性が高い。
千葉県、東京都内で市街地の道路脇や路上の隙間等によく見られ荒れ地にも生育するもので、適応地の都合か、直立性が高く下部の枝分かれが少ない小ぶりな株が多い。
果実形状は縦に少し伸びた広卵体が多く、果実は熟す前後だけつやがある程度。
果実期の萼はきれいに整った太身の裂片で膨れた星型シルエットで、アメリカイヌホオズキやオオイヌホオズキの先端が反るタイプよりは全体的に反る。とりあえずはっきり反っているの自体はぱっとすぐ見て取れる。
葉はこちらの種同様全縁的で荒れ地でさえ濃いめの緑色だが、テリミノイヌホオズキやアメリカイヌホオズキ等のように少し小さめ。場所の都合もあるのだろうが、やたら巨大な葉をつける個体は見ていない。
茎や脈の色ははっきり紫味が濃いのだがイヌホオズキよりは少し軽い色合いが多い。
花冠は裂片がイヌホオズキ寄りに太めで、基部側でややだぶついている。
カンザシイヌホオズキを除いた上での「典型的なテリミノイヌホオズキのいくつかのタイプ」とは異なるものの、「テリミノイヌホオズキ群」としてまとめられているうちの一つの可能性もあるが、何かの雑種由来でできた種類かもしれない。とりあえず正体を確かめられる資料はない。都市部で壁際等状況がよいと真冬にも花・実をつけて全草が真っ黒(濃い黒紫)になっている個体が見られる。

花確認:
2006(F7)
2009(F11)(F12)
2010(F11)(F12)
実確認:
2006(C7)
2009(C11)(C12)
2010(C11)(C12)

宮城県版のナス属
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