まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ウマノアシガタ

ウマノアシガタ トップ
キンポウゲ科 キンポウゲ属
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Ranunculus japonicus Thunb.

花は径1.5cmから2.3cm程度、栄養状態等もあるのだろう、たまに1cm程度の小さな花をつけている株も見られる。草丈は40cmから60cm程度でひょろっと間延びしている。
きわめて光沢のある、赤みのない黄色の丸っこい花弁で、美しい反射が目に沁みる。撮影で失敗する方もちらほら。こればかりはカメラに慣れていないと仕方ない。
ひょろっと異様に伸びた斜上する数本の茎に、それぞれがよく伸びた複二出集散花序をつける。ただしよく複数の節部がかたまって更に多くなっている部分や逆に単出集散花序になっている部分等も見られる。
根生葉は極端に長い葉柄を持つ3深裂+側裂片2中裂する腎臓形(や、栗の実のシルエットのような形)の単葉が基本で、上部(花序内)では単純になり三枚の線形裂片が爪のようについている。
ただ実際にはオオウマノアシガタと異なり三出複葉の個体はかなり多く見られ、複葉化しかけている個体も多い。
萼や茎・花柄に毛がかなり生えるが、茎・花柄はかなり下の方以外は開出した目立つ長い毛ではなく上向きに伏した短い毛なのでぱっと見で毛深いという印象自体はあまりない。
軟らかい葉質で、瑞々しく、微細な毛が多数生えて艶はなく、縁も裏にほとんど巻かないので、脈の皺の彫り自体はしっかりしているが全体にのっぺりしている。切れ込み部の白っぽい色抜け(または赤紫の染まり)がかわいらしいアクセント。

花の撮影

撮り方を考えないととことん白く飛ぶか黄色く潰れるのだが、幸い光沢がある花なので、位置取りというか向きを考えて撮れば立体感はちゃんと写る。
…簡単に光沢のある質感を収めたければ単に「どアンダー」にするのが基本。(露出補正にてマイナス方向に補正するだけ。)
注意点等…
・直射下での撮影の場合は、直接反射で光沢の強くなる部分がうまく入るように位置取りし、敢えてそこだけ白く飛ぶくらいに撮る。そうしないと、飛んでないけどのっぺりした黄色だけの立体感のない変な表情になってしまう。
・適正な明るさの際に「適正な色」になるホワイトバランス設定のままでアンダーにすると段々赤っぽくなって山吹色のようになってしまうカメラもある(PanasonicのLumix)ので、アンダーではアンダーでの色補正をすること。…。
あまりアンダーにしたくないけれど構図等の都合でその位置からでは全体的に飛びすぎる場合、クリアファイルを翳すなどして微遮光する。
なんにしろ、カメラのせいにしないこと。(実際、携帯電話のおまけカメラでもいくらか遊びで撮ってみたが、ちょっと位置等を考えれば何枚でもきれいに撮れた。)

色々な虫、特に花粉集めのミツバチ類がしきりに来るので、なるべく邪魔をしないようにしたい…。

全景と花序の様子

ウマノアシガタ 全景 ウマノアシガタ 花序 ウマノアシガタ 花序 茎・花序は斜上するし見かけ上ひょろひょろしているが、一応ぴんとしている。ただ、長い分風にはどうしても揺れやすい。
最終的な花数は結構多い。葉が遠くしかも草地の中に生えるものが多いので、葉入りの全景を撮るのが困難。

ウマノアシガタ 花序 ウマノアシガタ 花序 ウマノアシガタ 花序 ウマノアシガタ 花序
花柄の長さはまちまちだが基本的に6cm程度とはっきり長く伸びるものが入る。このため余計にひょろっとしたスタイルになる。
上の方はみんな花序なので、上部で節毎につく線形の葉はまぁ苞葉と言えるか。

蕾から開花へ

ウマノアシガタ 蕾1 ウマノアシガタ 蕾2 ウマノアシガタ 蕾3 蕾は広い卵球体で潰れた饅頭形くらいに太いものもある。白い軟毛が密生する。卵形で丸く湾曲して縁が半透明の萼片。

ウマノアシガタ 蕾4 ウマノアシガタ 開花 ウマノアシガタ 開花後オシベ葯が一部膨らんだもの
開花時はオシベの葯がまだ碧っぽく縮こまってぎゅっとかたまっているため、その奥で中央にある緑のメシベは見えない。
外周から成熟するが、日のよく当たる側に偏って成熟が早い。オシベの花糸が少しずつ伸びつつ斜めに出て、葯が黄色く膨れてきて花粉を出す。花粉も葯も同じ色なので分かりづらいが。
ウマノアシガタ オシベまで全開した花 ウマノアシガタ 小輪の花 中央の方のオシベまで斜めに開くと包まれていたメシベが見える。メシベは偏平な卵形の子房がより集まった緑のもので、白い微細な毛だらけの短い「柱頭+花柱の」部分がぐねっと外側におじぎしている。
花弁は倒卵形から広倒卵形で丸っこく、先端中央は切れ込んでいたり窪んでいたりするが丸みが強め。キツネノボタン類よりはふっくらしたシルエット。
花弁全体は極端に光沢がある上にやや立体的に湾曲があるため、よく光を反射して白く輝いている。しっとりした漆のよう。
花弁の色は山吹色ではなく黄色。
基部側に王冠状というか櫛の歯状に、脈に沿ってひたひたと伸びる染みがある。下記蜜腺からしみ出しているものだろうか。
右の写真は、ふたつの段階の花を一緒に写したものだが、小輪個体のサンプル。1.2cm程度。

ウマノアシガタ 花 ウマノアシガタ 花(大きい画像) ウマノアシガタ 6弁の花 花弁の形状がよくないものの縁直前の白い光のりがわりとうまくいったのでせっかくなので追加。
中央は花粉等も分かるよう珍しく大きい画像を掲載。(クリックすると1500x2000ピクセルに。)
右は6弁のもの。全部花弁化すればキンポウゲだが、その道は遠いだろう。

花弁基部の蜜腺部

ウマノアシガタ 花 ウマノアシガタ 花弁蜜腺部 ウマノアシガタ 花弁蜜腺部 花弁基部には、浅く緩く二裂したヘラ形の鱗片に隠された蜜腺がある。鱗片は少し浮いていて、ここに顔を突っ込んだりストローを差し込んだりしている虫が見られる。(蝶やアブ、ハエ、モモブトカミキリモドキ等。モモブトカミキリモドキは花粉も食べている。黄色い花でよく見るが、まぁ何でも食べるのだろう。また、キリギリス類は花柱・柱頭の柔らかい緑の部分をよく食べている。)

咲いている状態でも鱗片と花弁に隙間があるのが一応横から見えるが、さすがに苦しい。
例によって周囲に落ちている花弁がないか必死に探し…ようやく一枚だけ見つけたので強風の中何とか撮ってみた。この後風で飛んで行ってしまい、数枚しか撮れなかった。落ちているものが見つかる時点でありがたいわけで、随分傷んでいるとか勝手な贅沢は言っていられない。
※せっかく咲いているものをむしって写さないように。蜜腺も目立つ花弁も植物にとって虫を誘う重要な部分。
ウマノアシガタ 花弁の蜜腺 追加。蜜腺が見えるよう、鱗片を立ててみた。
例によって傷んだ花弁。白い部分は光沢ではなく、既に色が抜けた部分。

オシベ・メシベ部分の変化の様子と萼

ウマノアシガタ シベの拡大1 ウマノアシガタ シベの拡大2 ウマノアシガタ シベの拡大3 上述した変化の様子。細かな変化が面白い。
花後間もないのでメシベはまだだいぶ小さいが、これが大きくなって金平糖のような果実になる。

ウマノアシガタ 萼 毛のある萼。ここの毛は茎の下部・根生葉の葉柄の毛と同じように長い毛。正面からは隠れているが、横から見るとこれだけ長い毛は結構目立つ。

葉の様子

ウマノアシガタ 下部の葉 ウマノアシガタ 下部の葉 ウマノアシガタ 中部の葉 根生葉や下部の葉では葉柄が長い。特に根生葉では極端に長い。
3深裂した葉は裂片も更によく裂ける。特に脇の裂片は強めに中裂し、全体が5裂に見えるものも多い。
強く切れ込んだ位置は白っぽい色になっている
目立つ脈は少なく、縦長の少数のエリアに区切られる程度。
表面には若い時期に前方に伏し気味の白い軟毛が結構生えているが、あまり目立たない。単に艶がないように見える。
縁では湾曲斜上する軟毛が少し目立つ。

ウマノアシガタ 上部の葉 ウマノアシガタ 上の葉のトイ状になった葉柄 上部の葉へ行くほどに裂片はシンプルになる。上の方では上から見ると一見葉柄がないか輪生のように見えるが、横からよく見るとトイ型の葉柄が茎・花柄にぴったり丸く張りついているのが分かる。といっても実際にくっついているわけではない。

茎の様子

ウマノアシガタ 茎の毛 下部から中部くらいまでははっきりとした太めの毛が少しだけ斜上気味に開出して生えている。
花柄の上部でも同様にかなり密生しているが、上の方では極端に短くなるため、印象としては目立たない。

果実の様子

ウマノアシガタ 果実 ウマノアシガタ 果実と蕾 ウマノアシガタ 果実 ウマノアシガタ 果実
果実期には果柄がかなり伸びている。果柄の質はしっかりしているのでぴんと立っている場合が多い。
偏平な痩果が多数集まった集合果で卵体・広卵体になっていて、とげとげしている。集合果全体は長さ8mm程度と写真で見る印象よりかなり小さい。キツネノボタン類より痩果先の尖り具合が大人しいが、まぁそれほどの差はない。
ウマノアシガタ 果実 ウマノアシガタ 果実 痩果は、潰されたような太身の偏心の倒卵形で、キツネノボタン類と比べるとだいぶ太いシルエット。
また、偏平だが結構ふっくらというかぱんぱんに膨れてはいる。
先端の宿存花柱はあまり目立たないことが多い。痩果周囲には、緩いがはっきりした段が基部以外の全周にできている。
熟すとぽろぽろ落下する。

幼生期の様子

ウマノアシガタ 幼生期 ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株
ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株 幼生期の根生葉は葉形がかなりまちまちだが、ゲンノショウコによく似た、裂片の先が極端に丸っこいスタイルのものもちょくちょく見られる。
脈を見れはすぐにそれと異なることが分かる。

ここからは三出複葉や三出複生葉のもの。
ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株 ウマノアシガタ 幼生株
ウマノアシガタ 幼生株の葉の染まり ウマノアシガタ 幼生株の葉の染まり なお、切れ込み部は紫褐色の染まりにも白色の色抜けにもなる。ゲンノショウコもそうなので、注意。

多様な葉

ウマノアシガタ 葉 ウマノアシガタ 葉 ウマノアシガタ 葉
多様な葉。
形や色が変わっても、裂片の先端の感じや葉表面の質感自体は変わらない。
面はぺたっとフラットでスマートで、つやがほとんどない(微毛が生えているため)。
ウマノアシガタ 葉 ウマノアシガタ 葉
ウマノアシガタ 葉 三出複葉や三出複生葉(複葉化しきっていないもの)もちょこちょこあるので、別種と混同しないこと。
「一応基本的には単葉だ」、という程度。

ウマノアシガタとゲンノショウコの幼生期

ウマノアシガタ ゲンノショウコ 幼生期の葉 幼生期にはウマノアシガタの幼生期と互いに似た形状になり、切れ込み部の染まりも同様(どちらも渋い赤紫になったり白く抜けたりする)。
また、どちらも、中央のような丸っこい葉もある。

ゲンノショウコ:
脈の出方は掌状脈系。基部から放射状に主脈が出て、各脈から一旦出た脈は分岐後シンプルに縁へ向かいそのレベルのメインを保つ。単純な樹形状
ウマノアシガタ:
脈の出方は鳥脚状脈系なので各基部の感じが異なる。また、細かく脈の流れを見ていると、各段階で主・副が捉えにくい二又分岐をし、一度出た脈が先で分岐して別の脈の分岐と接しはっきり角張った長細い多角形を形成していて、直接縁へ向かわない。縁から入ってくる脈とも接する。

ついでに

ウマノアシガタも三出複葉になることは結構あるということで…ついでの別種情報。
全景 三出複葉になるものといえば、畑脇なんかにもちょこちょこ蔓延っている八重の園芸ものが「キンポウゲ」と称されていることがある。全然別種の海外園芸種(ゴールドコイン等)なので注意。三出複葉しかないことには目をつぶったとしても、そもそも葉質が異なる。
葉の鋸歯の感じはやや鋭い。

もうひとつ(※急に検索等からのアクセスが伸びたため追補改訂)

ウマノアシガタ似 葉 ウマノアシガタ似 全景 更に、別の三出複葉ものの一重の園芸種。花も葉も全体もウマノアシガタと比べるとかなり大きい。ごくたまにだが植えているのを見かける。
下の方の大きくなった葉を見ると、厚ぼったく縁がやや裏に巻くような感じにでっぷりしている。
ウマノアシガタの印象を持って近寄ると、厚ぼったく巨大な葉がかなり印象的。ゴールドコインやそれと似た少し大きな花の別の園芸ものと比べると、花以外にも雰囲気・質感がだいぶ異なる。
情報不足で同定不能(2006年より。)。海外園芸品種なのは間違いない。

(以下は…。急にアクセスが伸びたようなので真面目に情報追加。記事はまだ分離しない。)

各部の毛がウマノアシガタより少なめ。花は二回りくらい大きいがよく似ている。光沢も同様。ただしよりふっくらしている。
葉はぼってりしたイメージで、どれもはっきり三出複葉。
重いせいも多少あると思われるが、全体に直立性はやや低い。
花・全体の大きさからアクリス(Ranunculus acris L. subsp. acris)だろうという短絡話が出てくると思うが、 原種について同定をあてにできる資料では写真でも線画等でもこのタイプのぼってりした葉をつけるものが見当たらない。シルエットも鋸歯そのものもかなり異なるし面の質も異なる。全草の毛の具合もだいぶ異なる上に、痩果の宿存花柱の形態も異なる。
元々この種が作出に関わっている可能性自体は一応高いと思われるのだが、そうだとしても他種と交配されたか選別交配かも不明。(実のところ、2006年からここで情報不足で止まっている。)

ウマノアシガタ似 花 ウマノアシガタ似 花 ウマノアシガタ似 萼 ウマノアシガタの花を色も質もそのまま二回りくらい大きくしたような花。大きい分、華やかには見える。
子房と花柱は明るい黄緑。柱頭は明るくやや白っぽい黄色で円柱状、うねうねと外下向きに屈曲していく。オシベは花糸・約、花粉とも黄色い。
花弁はウマノアシガタより更にふっくらしたかなりの広倒卵形で、少しだけ波打つ。花弁自体も浅皿状だが花全体もウマノアシガタよりやや深い皿状になっていて花弁同士が少し重なる
光沢はウマノアシガタ同様に強い。基部1/5程度はウマノアシガタ同様染みたようになっている。
萼はウマノアシガタと質感と色は同じでかなり薄く明るい黄緑。形状も似たような狭卵形の舟形で、中肋がある。
弱く上方に屈曲した白い毛が生える点も同じ。茎同様、ウマノアシガタより少し毛が少なめ
個体にもよるが、多くは中肋を中心に赤紫の染まりが出る。縁はやや透け色が薄い。

ウマノアシガタ似 葉 ウマノアシガタ似 葉 ウマノアシガタ似 葉裏 ウマノアシガタ似 上部の葉
側小葉の小葉柄は短いものの、全体にはっきりした三出複葉。下部では最大で葉面15cm程度もあるものも見られる。基本的には10cm内外と大きい。葉柄は長くしっかりしていて、中央に窪みがある。
葉全体の色が強く、全体にぼってりして厚手に見えウマノアシガタのひらひらした質感と比べるとだいぶ武骨な印象。
切れ込んだ部分の色抜けは強い。赤紫の染まりも葉の各部、特に小葉柄や小葉身基部付近で縁を中心に強く見られる。
つやがある。また、鋸歯の縁等が少し裏に巻く感じなので一見肉厚に見える。実際に厚手なわけではない。
上部では葉柄が短く薄くなり茎に上向きに伏して張りついていて、一見三枚の細い葉がついているように見える。
葉裏は色が薄めで、よく見ると開出した微毛が生える。ただし肉眼ではほとんどすべすべに見える。
ウマノアシガタ似 茎 茎は上に伏した白い短毛が疎ら。ウマノアシガタと近いが、より毛が少ない
ぱっと見はシンプルな円筒だが肋と窪んだとい状の細い筋とがある。質はしっかりしているが長く伸びる傾向が強いため直立よりは斜上する部分が多い花柄以外はやや倒れているといった様子

ウマノアシガタ似 若い果実 ウマノアシガタ似 果実 果実期には柱頭は鉤状にしっかり屈曲。宿存部分がウマノアシガタよりはっきりし、屈曲具合もより強い
痩果形状はウマノアシガタに近い扁平で少しぷっくりした、背側に偏心した広倒卵形で、縁はやや翼状に別質の縁取りとなっている。(この当時、植えている家主に会えなかったのでその場で落ちているものを撮影。今は家が取り壊し…。)

質はしっかりしているが実際の稔性がちゃんとあるかは不明。
(なお、地面の具合からは宿根ものかなと思われるが、確認はしていない。)


花確認:
2010(F4)(F5)
2011(F5)
実確認:
2011(C5)

宮城県版のキンポウゲ属
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