まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

マルバフウロ

マルバフウロ トップ
フウロソウ科 フウロソウ属
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Geranium rotundifolium L.
丸葉風露 まるばふうろ Marubahuuro Maruba-Huuro
花は花径7mmから1cm程度、草丈は10cmから20cm程度。
こんもりと茂って葉をつけ、はっきりツートンに塗り分けられた小さな花を二つセットでつける。
ゲンノショウコの丸葉タイプと似たような葉でそれよりずっと丸っこい。葉の切れ込み部に濃い赤紫の染まりが見られる。
開発工事とともにやってきて、既に結構な数が繁殖している。
葉は対生、節から枝を斜上して二本出す。また、節の中央から花序を出し、花序は真っ直ぐ伸びて先で二本小花柄を斜上して出して花をつける。これを上まで繰り返す。
各部には、先端にルビーのような濃い赤の玉をつける白い開出軟毛を密生している。ただし肉眼ではルビーはほとんど見えない。中に混じって、それより少し長い普通の白い軟毛が散生している。
また、子房・葉面・萼については、ほとんど腺毛がなく普通の白い軟毛が密生する。
茎や葉柄、花柄、小花柄と托葉は赤紫に染まっている。ただし花柄・小花柄の染まりは遅く、しばらくは黄緑。
写真にはうまく出ていないかもしれないが、花のピンクは濃くて化学的な感じでかなり鮮やか。そばに同じように咲くアメリカフウロの柔らかな薄桃色とは全く異なる。

国内のサイトには情報がほとんどないと思われるので、この文書が何かの役に立てばありがたい。
なお、ちょっと古いとある図鑑では誤って別の植物(ヤワゲフウロ)の写真として掲載されているので注意。

全景の様子

マルバフウロ 全景 マルバフウロ 全景 マルバフウロ 全景
マルバフウロ 全景 マルバフウロ 全景 葉がよく茂っているものが多めだが、ほとんど這わずに大部分が湾曲斜上して結構立ち上がっているため、真横から見るとすっきりして向こうが見通せる。

花序の様子

マルバフウロ 蕾と花序 マルバフウロ 花序 蕾時期にかかたまってうなだれている。花柄から二又に小花柄を出して花をつけているが、まず二花同時に咲いてはいない。蕾は細い長卵体。蕾時期はまだ詰まっているのでぎっしり感がある。
持ち上がりながら横向きで開花した後、咲き進んで真上を向く。

花序と花・萼の様子・花柄の様子

マルバフウロ 花の拡大 マルバフウロ 花 マルバフウロ 花
マルバフウロ 落ちていた花弁 咲き進む様子。
花弁は正面からは一見アメリカフウロ等と同様の開き具合に見えるが、実は非常に細い長いヘラ形で、途中まで立ってついていて上部1/3程度の位置で急にほとんど水平に開いている、特徴的なつき方。よく見ると基部付近では隙間ができている、弱いS字状。
花弁の先端は緩く窪む程度でほとんど平らで、アメリカフウロと丁度同じくらい。
花弁を裏から見るとよく分かるのだが、先まで到達していないらしき3脈があり、中央の脈は途中で二又になっている。また、落ちている花弁で見ると分かりやすいが、更に外側に短い脈も左右1本ずつ見られる。

マルバフウロ 花のシベ・花粉 マルバフウロ 花 マルバフウロ 花
オシベは葯が鮮やかな紫で、花粉は橙褐色から肌色できれいな球状。寄り添った葯がそれより短い柱頭を隠して開花して、段々オシベが離れて、5本になって外にカールした柱頭が覗くようになる。柱頭は紅色から赤紫で、上面(内側面)だけ微毛状。オシベ花糸は、この仲間の他の種と同様基部側が広がっていて全体のシルエットは披針形になっている。オシベ花糸がこうなっている目的は不明なのだが、これがあることで花弁の基部の隙間から子房を食べに来る虫を多少防いだりできているのかもしれない。
花弁の取れている写真で基部に見えるきらきら水滴のようなのは蜜。蜜腺は花弁と花弁の間に配置し5つある。ちなみに、この写真の短いオシベは未成熟で終わったらしきもので、長さも短ければ葯も正常に育っていない。

萼と小花柄の様子

マルバフウロ 花 マルバフウロ 花の横顔 マルバフウロ 萼と小花柄
マルバフウロ 小花柄の毛 本来はスマートな花だが、萼がそれを隠して抱くようにふんわり丸くついているせいで、一見、ふんわりころんとした花に見える。
萼片は3枚ほど(2枚の場合も)が幅がやや広く長卵形か長楕円で残りの2枚ほど(3枚の場合も)が倒披針形ないし倒披針形。数少ない、腺毛ではなく普通の開出軟毛ばかりが生える部分。内側は無毛。緑色だが、3本の濃い赤紫の脈と両縁の赤紫がくっきり目立つ。先端は棘状に凸端なのだが、それほど目立たない。
花柄と小花柄の境には、茎の節と同様、托葉と同じ三角形の構造物がある。早くから濃い赤紫。托葉由来のこれは、一体何と呼べばよいのか…。葉由来ではなく托葉由来だと思われるので苞ではないのだが…。
花柄・小花柄には先にルビーの玉のある白い開出腺毛が密生。腺毛より長い普通の軟毛も、少しだけ散生。

マルバフウロ 花後の萼姿 花弁が落ちる頃には萼は横を向き、一旦ほぼ平開する。

葉の様子・葉柄の様子

マルバフウロ 葉 マルバフウロ 葉 マルバフウロ 葉 マルバフウロ 葉柄の毛
葉は対生する。
基部が30度くらいに狭まって全体に潰れた円形のシルエット。お饅頭の断面のような形状で、まぁ、腎形。幅3cm程度。
一旦3裂し、側裂片は1または2裂するので、全体で5裂・7裂している。後はやや規則的に弱く切れ込んでこれらは卵形裂片。
全ての切れ込みの奥で濃い赤紫の染まりが横に留め縫いするかのようにできていて、アクセントになっている。
葉面は短軟毛が生えてはいるが他の部分のように毛が目立つことなく、一見無毛。
脈はどれも皺深く、渋い感じ。葉の色合いもあまり明るい系統ではなく灰味のある緑系。
縁は赤紫に縁取られている。
葉柄は長く、茎や花柄と同様、ルビーのような赤い玉の腺毛が密生
葉柄は長い。

茎の様子

マルバフウロ 茎の毛 マルバフウロ 茎と托葉 マルバフウロ 茎 強い赤紫。先端にルビーの玉をつけた白い開出軟毛が密生している。節毎に2枝出し、中央部では花序を真上に出す。托葉は三角形で、先端は鋭い。

果実の様子

マルバフウロ 果実 マルバフウロ 果実 マルバフウロ 果実 マルバフウロ 果実
マルバフウロ 果実の拡大 花期には小花柄が中途半端に曲がって花が横を向いているが、花弁が落ちた頃にはやや俯き、果実の時期には小花柄はよく伸びて水平よりやや下に向かって伸びて先で急に上に屈曲し、果実は直上する。
花後一旦平開していた萼はまた花期と同様抱くように丸くなっているが、必ずではなく個体によっては平開したまま。
ゲンノショウコやアメリカフウロ等と同じような果実期。基部に5玉になって中央に弱い稜のある卵形の果実があり、中央から花柱を1.5cmから2cmに伸ばしている。
花柱の毛も、一見ただの白い軟毛だがルビーのような濃い赤の頭の腺毛
果実本体の部分には中央の筋部に多少腺毛が生えるが、ほとんどが普通の白い開出軟毛

マルバフウロ 果実期 マルバフウロ 果実 マルバフウロ 果実 マルバフウロ 果実
果皮は熟すと黒か黒褐色。
花柱の中央には軸があり、これを支柱に、5室ある子房からそれぞれ伸びている花柱の嘴部分が果皮を先端につけたままくるりと跳ね上がって種子を弾き飛ばす。ゲンノショウコやアメリカフウロと同様。
巻いた後は先端部の果皮の角度が穴が下向きになるので、弾き飛ばせなかった場合でもしばらくして果皮が傷みさえすれば種子が下に落ちる。

果実の中と種子の様子

マルバフウロ 果実の中・種子 マルバフウロ 種子
マルバフウロ 種子 マルバフウロ 種子
(果皮部分を持ち上げて撮ったものは、ひとつ取れてしまった。5つ。)
嘴部分の内面はとい形になっていて、縁以外の部分に短毛が生えている。また子房部の各室の基部の接合部には内側に毛状のぼさぼさした組織が多数束生している。
種子は長さ1.8mm程度でキウイのような、先が細まらない楕円体。表面は網目状になり多角形のピットが窪んでいる。内側(軸に向いていた側)には短い筋と長いやや湾曲した窪みがあり、Y字状になっている。

マルバフウロとアメリカフウロ

マルバフウロ アメリカフウロ 花比較 マルバフウロ アメリカフウロ 花横比較
上から見ると同じサイズ。隣に咲いていると色合いの違いが更に分かりやすい。(並んでいなくても全く異なるが。)
横から見ると、かなり花弁の立ち方が異なる。
開かない状態で同じ花径。もしマルバフウロもアメリカフウロと同じ開き方をすれば花径は1.5倍程度にはなる。
アメリカフウロ マルバフウロ 葉の比較 アメリカフウロの葉と比べると、質自体は似ている。アメリカフウロの葉は中央付近に行くほど色が薄い白黄緑になっているが、こちらの種はほとんどそのようなことはない。せいぜい、放射する主脈の中央のごく狭い範囲のみが少し薄くなる程度。


花確認:
2011(F4)(F5)
実確認:
2011(C4)(C5)

宮城県版のフウロソウ属
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