まつどとか
千葉北西部、
        くさのめも
      周辺ぷち植物誌。
© T. Codd

ミチバタナデシコ

ミチバタナデシコ トップ
ナデシコ科 イヌコモチナデシコ属
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Petrorhagia nanteulii (Burnat) P.W.Ball et Heywood
犬子持ち撫子 いぬこもちなでしこ Inukomochinadeshiko Inu-Komochi-Nadeshiko
花は花径8mmから1.2cm程度、草丈は15cmから25cm程度。
花は茎頂にかたまって頭状で、紡錘形から細い卵体でひとつにまとまったような二対の淡褐色の総苞の中に3から5花程度がついていて、花弁の平開部のみが外に裸出する。
全体として絶妙な色合いで、面白い。
茎質はしっかりしているが花序部の重みもあるためひょろひょろふらふらしている。
大型道路の歩道脇で延々大量に生えていて、年々帯の距離を伸ばして拡がっている。
コモチナデシコとは種子の模様・花径や花弁の紫条模様の数(1から3)、イヌコモチナデシコとは種子の形状で区別できる。

※この仲間にはいくつかあるが、Petrorhagia Petrorhagia prolifera(コモチナデシコ)とPetrorhagia nanteuliiは盾形の種子を持つ。現在では他に、兜形で尖った突起のある種子を持つもの(特徴からは、Petrorhagia dubiaらしく思われる)も一部で帰化している模様。
2015/10/25追加:日本で和名「イヌコモチナデシコ」とされていた標本自体が実際にはdubiaの方だったらしく、記事は「わたしたちの自然史第132号」の新称「ミチバタナデシコ」に改める。つまり上記の一部帰化しているものとしたものがイヌコモチナデシコ。

全景

ミチバタナデシコ 全景 ミチバタナデシコ 全景 ミチバタナデシコ 全景 ミチバタナデシコ 全景
ミチバタナデシコ 全景 縁石の継ぎ目等に列状に生えて一本で立っている小株も多数あるが、よく育った本来の姿はこのような叢生株基部側でかなり分枝する。
とてつもない茎数になっているものも結構見られる。

花序と花の様子

ミチバタナデシコ 花 ミチバタナデシコ 花 ミチバタナデシコ 花 ミチバタナデシコ 花
ミチバタナデシコ 花 頭状花序総苞は幅8mmから1.3cm程度、長さ1.5cm程度。詰まった総苞は基本的に二対で構成されている。
密集している総苞のうち外(下)になっている総苞外片はやや小型で細い。内側の総苞内片は極端に大きくなり、幅もかなりあり、花期であればこの一対だけで花序をくるめるくらいある。
褐色の薄膜質でぱりぱりした質(玉葱の皮のようなものがもう少し硬くなった感じ)の片。縁は色がより薄く異質になり翼状。
先端側はやや赤紫に染まるものも見られる。
下の小さめの総苞外片は縁や脈等に緑色がやや残る場合も多く、先端では縁とより明瞭に異質になってやや芒状に突き出ている場合が多め。
総苞内片は先がやや鈍いが中央部が突起状にやや突き出る場合もある。
(詰まった片以外に三枚目の写真のようにたまにやや離れた位置に茎葉と総苞との間位の形質の片も一対見られる場合も多い。ほぼ重なることもあれば、数cm離れて一切かからないものもある。この総苞直下の「葉」は中央で緑の本体が芒状にはっきり伸びていて縁との質の違いが極端にはっきりしている。)
花はナデシコ科らしいきれいな五弁花。よく晴れたよい時間に行けばきれいに開いた花を見られるが、撮影時白飛びするくらいの晴天だったりするので注意…。
総苞の中なので見えないが総苞の基部に花がついていて花柄は1mmから2mm程度しかないため、実際にはかなり長い花。花冠は裸出している部分だけ急に平開しているが。
各花にも総苞とほぼ同質でやや細めの太倒披針形というか先の尖ったヘラ形の苞が一対ついているので、厳重に守られている感じだが中はかなり暑そう。
この苞には、中だからかしっとりした感じが長く残り、薄い白緑の部分も多い。
平開部だけで見れば倒卵形で先端中央が緩く窪んでいるのでハート形に見える(倒心形)。よく見ると先端側では細かく不整に波状にがたついている。
全体は濃い目のピンクだが中央には濃い紫の長い筋模様が一本ありたまに途中で不明瞭に3方に分岐している。更にこの条の左右にも一対、短い同様の染まりがある花が多い。(1から3本の紫条があるのはこの種の特徴のひとつ。)
中央に二又になった白いぼさぼさ細毛のある柱頭が出ていて、周囲にはより突き出たオシベが10本あり、葯の基部がメシベより先にある。葯は薄めだがはっきりした青紫で、花糸も先端側では弱く染まる。
花粉も薄い青紫。
オシベは立っていることは少なく、多くは花弁に倒れるように放射状に倒れている。
二枚目の写真で見えている緑の先の尖った紡錘形のすべすべしたものは若い蒴果。

葉と茎の様子

ミチバタナデシコ 葉 ミチバタナデシコ 照り付けで焼けている葉 ミチバタナデシコ 葉 ミチバタナデシコ 葉
下部には葉が多く密集はしているが、短く細い線形なのでややすっきりしている。
厚いわけではないのだが、のっぺりしていてあまりひらひらしていない、多肉ものを平たくしたような印象。
面はすべすべしているがつやはない
葉縁は微細な腺毛状の突起が並ぶ。
茎葉はくるんと反っている場合が多い。
茎葉は、基部は茎に張り付くように上に伸びていて、この部分と、茎から離れている部分とで形状に境があり、基部側は長楕円でその先は等幅な広線形になって茎から急に離れる。また、基部側のみで縁が白緑の膜質の翼になっている。基部のうち1/3程度は、翼部が対の葉と合着して葉鞘になっている。
合着した葉鞘部は3mm程度あり、幅の1.5倍程度。(この種では1.5倍から2倍あるとされる。)
茎は無毛か、下部等では部分的に腺毛が密生する。

花後から蒴果の様子・種子の様子

ミチバタナデシコ 花後 ミチバタナデシコ 果実 果実はくしゃくしゃにだいぶ乾いた総苞の中にあり、先側の方がやや太い紡錘形の蒴果。膨らんで乾いて途中まで4片に裂開する。裂開した片が開くことで総苞との間に少し隙間ができて覗いている場合もわりと多いが、上から見たら裂開した先端の穴だけが見えるような状態のものの方が多い。時期が進み花序内のすべての果実が果実期を迎えた頃には総苞もだいぶ傷んでよく見えるようになるが。

ミチバタナデシコ 種子 ミチバタナデシコ 種子
ミチバタナデシコ 種子 ミチバタナデシコ _tanehara ミチバタナデシコ _tanese
種子は濃い灰褐色で長辺1.5mmから1.8mm程度の偏平な倒卵形状長楕円で、腹側の片面だけ縁が盛り上がっているというか中央が足で踏んだようにくっきり窪んで、背側の面は少し膨れがあるため、盾形。窪みの中以外は全体に微細なこぶのような低い突起が連なるように密生してざらざらしている。表も裏も全体にやや筋状に流れがあり、基部から広がっている模様になっている。

花確認:
2010(F5)
2011(F6)
2012(F8)
2013(F5)
実確認:
2011(C6)
2012(C8)
2013(C5)

宮城県版のイヌコモチナデシコ属
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